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毎週お届け 注目中国スタートアップ企業|2024年11月号

 

 

 

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現象光伏(Phenosolar)

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【会社概要】

Phenosolarは、2022年8月に設立された、特にペロブスカイト新材料の開発に特化し、産業化に適したペロブスカイト材料を研究している企業。自社開発の機能性材料と製造プロセスを、ハイスループット(大量高速処理)のAI新材料開発プラットフォームと組み合わせることで、研究開発を行っている。同社は2024年10月24日、Pre-Aラウンドで深圳市を拠点とする清華大学系のテックイノベーションプラットフォーム企業「力合科創(Leaguer)」から数千万元の資金調達に成功したことを発表した。同社は、今回の資金調達を受け、さらなる研究開発の強化と研究成果の商業化を推進していく。

 

【プロダクト】

Phenosolaは独自のペロブスカイト材料技術を確立しており、自社独自の知的財産権を取得済み。中国国家工業情報化部の認定も得ている。同社が専有する独自材料を用いたペロブスカイト薄膜太陽電池の光電変換効率(太陽光のエネルギー変換効率)は国際的なトップレベルに達しており、業界独自の技術ルートで複数の特許を取得。同社の材料体系を基盤に、電池構造の簡素化から手を付け、多様な材料関連ソリューションを提案してきた。

 

例えば、同社が独自での研究開発に成功した前駆体(金属の複合化合物)溶液「Phenosolar#1」の活用ソリューションはその1つ。この溶液を活用することで、両端タンデム電池の効率を30%以上に安定させることで、従来のペロブスカイト電池の工程を簡素化し、設備コストとエネルギー消費を抑えながらその生産効率を向上させることに成功している。このように、同社はペロブスカイト電池商業化の課題を解決するため、その上下流の産業チェーンを統合することで、独自の商業化モデルを模索している。

 

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Phenosolarが研究開発したペロブスカイト太陽電池モジュール(画像はPhenosolarのニュースリリースから)

 

 

 

視旅科技(VISIOTRIP)

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【会社概要】

VISIOTRIPは、2021年11月に設立された、大規模AIモデルを基盤とした「AI駆動型の新世代旅行プラットフォーム」を構築するAI旅行ソリューションプロバイダー企業である。同社は2024年10月30日、Aラウンドで主に広州政府に属し、都市基礎施設建築領域などに投資するファンド「広州城投(GZCCI GROUP)」、主にエンジェルおよびAラウンドの企業に投資を行う中国のVC(ベンチャーキャピタル)「高榕資本(Gaorong Capital)」などから1億元(約21億円)の資金調達に成功したことを発表した。同社は、今回の資金調達を受け、旅行大規模AIモデル「VtripGPT」の研究開発とアップグレードを加速し、国内外の優良観光地での市場化応用を継続的に推進していく。

 

【プロダクト】

VISIOTRIPは、大規模AIモデルを基盤とした「AI駆動型の次世代旅行プラットフォーム」を構築し、旅行者が抱えるプラン作成の煩雑さや価格および情報の過剰、そして質の高い旅行参考素材の欠如といった課題をAIで解決し、旅行体験を最適化することを目指している。現在、同社が開発した個人消費者向け製品「楽派ネット」や「金熊猫旅行」では、AIによる旅行プラン設計、パッケージ予約、スマート旅撮影などの機能を搭載している。2022年にはAI基盤の構築と初期の主要観光地の拡充に約1年をかけ、その後、ChatGPTによるAIブームの波に乗り、2023年5月に国内初の旅行向け大規模モデル「VtripGPT1.0」を発表。AIユーザー向け製品については、中国香港でも展開している。同年8月から9月にかけては、四川省成都市、四川省甘孜藏族自治州轄県といった中国国内の都市のみならず、シンガポール、バンコクといった国外の観光地にも次々と導入されている。

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VISIOTRIPが開発した旅行プラットフォームのイメージ図(画像はVISIOTRIPのニュースリリースから)

 

 

 

諦声科技(Ensonic)

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【会社概要】

Ensonicは、2017年に設立した中国スタートアップで、工業音響モニタリングソリューションを提供する。大規模な音響検出データの収集とAIによる故障警報、非侵入式の高精度な音響収集・識別・早期警報の実装を実現。同社の製品は、50以上の故障タイプと故障レベル判定をカバーし、業界No.1の精度を達成している。同社は2024年11月5日、中国香港の公共交通運営企業「港鉄(MTR)」傘下のテック投資会社「MTR Lab」からCラウンドの資金調達(金額は未公開)に成功したことを発表した。なお、今回の戦略投資は、MTR Labの中国本土での初めての投資となる。Ensonicは今回の投資を受けて、自社の技術向上と製品開発の推進を進めていく。さらに、MTR LabはEnsonicの製品を基盤として、国際基準に適合する技術ソリューションを開発し、同社の海外市場の開拓を支援する予定だ。

 

【プロダクト】

Ensonicは、スマート音響モニタリング技術開発企業であり、AI音響モニタリングと分析技術の開発に注力している。同社は、独自のマイクアレイと信号処理技術を駆使し、データとアルゴリズムに基づくソリューションを提供。製造業、エネルギー、電力、交通運輸などの業界に対して音響故障診断を行い、故障予測とその保守を実現することで、生産性と全体的なサービスの向上を図っている。

 

同社は、複数のマイクから構成されるアレイ信号処理アルゴリズム(ビームフォーミングなど)を開発。これにより、平面上の音の音圧レベルの分布図を生成することができる。この分布図は、カラーコンター図(実験や解析などの結果として得られるカラーの等高線図)の形式で可視化を行い、画像や映像で測定対象物の音声分布を表示。同社の製品は、音響カメラの領域においては、中国初の製品となっており、音源の位置特定から異なる音のテスト、追跡、位置配置などに使用可能だ。

 

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Ensonic が開発した音響カメラ及びモニターのイメージ図(画像はEnsonic のニュースリリースから)

 

 

九識智能(ZELOS)

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【会社概要】

ZELOSは、2021年8月に設立した中国スタートアップで、「レベル4」(特定条件下での完全自動運転が可能)の自動運転フルスタック技術の自主開発能力を有する都市配送自動運転製品の研究開発と応用に取り組む。公開道路での商業化展開を実現し、業界初となる「キー納付型車両販売」モデルにより黒字運営を実現している。同社は2024年11月11日、中国オルタナティブ資産運用会社「鼎暉投資(CDH Investments)」、企業向けソフトウェアとスマート製造に注力する中国VC(ベンチャーキャピタル)「蓝湖資本(Blue Lake Capital)」などからBラウンドで1億ドル(約154億円)の資金調達に成功したことを発表した。なお、今回の資金調達は、過去1年間で中国自動運転領域において実現した最大規模の資金調達の1つであるとされている。

 

【プロダクト】

ZELOSは、レベル4アルゴリズムの研究開発、製品開発、車両納入、販売運用における能力を備え、中核となるソフトウェアとハードウェアモジュールをすべて自社開発している。これにより、スマート化プラットフォーム、車両プラットフォーム、電動化プラットフォームの三大技術プラットフォームを構築している。

 

物流の多様な細かなニーズに対応するため、同社は製品を継続的に進化。2024年6月には、「Z2」、「Z5」、「Z8」、「Z10」の4つのレベル4無人車両を発表した。それぞれ異なるシーンや積載量のニーズに応えることができる。フラッグシップ製品の「Z5」は、宅配、生鮮食品、医薬品などのB2B配送シーン、「Z2」は小型で柔軟性があり、閉鎖型エリアや複雑な屋内交差点などの狭い道路、そして「Z8」は長い航続距離と高い積載能力を持ち、工業物流、農村地域での宅配物流、鉱山エリアでの長距離輸送に適している。また、「Z10」はZ8を基盤に航続距離、容量、積載能力をさらに強化した製品であり、業界最大の無人配送車両となっている。

 

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ZELOS が2024年6月に公表した4つのレベル4無人車両。左から「Z2」、「Z5」、「Z8」、「Z10」
(画像はZELOS のニュースリリースから)

 

 

 

全霊(SEELE)

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【会社概要】

SEELEは、2022年11月に設立した中国スタートアップで、3Dマルチモーダル大規模AIモデルに特化した企業で、主には生成AIによる3Dゲームの研究開発に取り組んでいる。同社は2024年11月18日、世界最大の中国語検索エンジンを持つインターネット企業「百度(BAIDU)」、主に画像編集ソフトウェアやアプリケーションを開発している「美図(Meitu)」、そして主に新世代情報技術、医療健康、スマート製造などの分野に投資している中国のVC(ベンチャーキャピタル)「富坤創投(RICHLAND EQUITIES)」などからPre-Aラウンドで1000万ドル(約15億円)の資金調達に成功したことを発表した。

 

同社は、今回の資金調達を受け、新世代のゲームマルチモーダル大規模AIモデルのアップグレードを進めていく。併せて、全く新しいゲームAIGCエンジンを作り、AIゲーム生成コンテンツプラットフォームを構築し、国内外の優秀な人材をさらに採用していくと発表している。

 

【プロダクト】

同社は、3Dインタラクティブ・マルチモーダル大規模AIモデルの研究開発に取り組んでおり、簡単な入力で3Dインタラクティブコンテンツの生成を通じて、新世代の3Dソーシャルインタラクションプラットフォームになることを目指している。このプラットフォームでは、ゲームコンテンツの制作に焦点を当てており、ゲーム開発のプロセスを簡素化できる。従来の開発における複雑なプログラミングやアート制作の工程とは異なり、クリエイターは文字での説明を通じて、同社のマルチモーダル大規模AIモデルを活用し、アイデアを3Dインタラクティブな世界に変換することができる。このシステムは、3Dシーンやモデルの自動生成だけでなく、インタラクティブアニメーション、音楽や効果音、そしてゲームプレイの作成も可能だ。なお、同社の会社名である「SEELE」は、ドイツ語で「魂」を意味し、インスピレーションは日本のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の人類補完計画の背後にある組織から得たものとなっている。

 

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SEELE が開発した3Dソーシャルインタラクションプラットフォームで作成される人物のイメージ
(画像はSEELE のニュースリリースから)

 

 

 

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