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毎週お届け 注目中国スタートアップ企業|2024年3月号

 

 

 

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零食很忙(BUSY FOR YOU)

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【会社概要】

零食很忙(BUSY FOR YOU)は23年12月の資金調達額ランキングで第5位に立つ。19年12月設立の中国スタートアップ企業で、低価格の菓子を提供することに注力している。同社は23年12月18日に戦略投資で10億5000万元(約218億4000万円)の資金調達に成功した。

今回の投資には、民営食品メーカーで中国で初めてナツメ(中国北部を原産地とする果実)を加工する上場企業「好想你(HAOXIANGNI)」と、食品の研究や開発、製造、販売に携わる上場企業「塩津鋪子(YANJINPUZI)」が参加している。

零食很忙は今回の資金調達を受けて、主に自社のサプライチェーンや倉庫の建設、商品のアップグレード、業務のデジタル化、市場の開拓、それにブランディングなどを進めていく。

【プロダクト】

中国の調査会社「艾媒諮詢(iiMediaResearch)」によれば、中国の菓子市場は22年に成長の停滞が続き、伸び率はわずか0.8%にとどまった。特に、ハイエンド向けの客単価が高いブランドについては、売り上げが減少または横ばいの傾向があるという。

例えば、中国三大菓子ブランドの一つ「三只松鼠(Three Squirrels)」の22年売上高は、前年比25.35%減少。同じく中国三大菓子ブランド「良品鋪子(BESTORE)」の22年売上高は、増加したとはいえ前年比1.24%増で、成長の勢いがなくなっていることが分かる。

一方、創業からわずか6年の零食很忙は、23年中に店舗数が3000以上に達した。直近3年間で2000店舗以上をオープンしており、単純計算だと1日に2店舗オープンしていることになる。同社は主に、サプライチェーンを工夫することによるコスト削減と、効率化による商品の低価格化、それに加盟店に対する強力なマネジメントと業務全般のデジタル化に強みを持つ。

零食很忙の商品を主に消費するのは、住宅近くのコミュニティーや工場、そして学校である。同社は、消費者によく知られた飲料の値段よりも低い値段を打ち出し、かつ商品を目立つ場所に置くことによって、販売を促進している。

例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで、3元(約62.4円)で販売されているコーラを、同社は1.9元(約39.52円)で販売。同時に、店舗の一番目立つ場所にそのコーラを配置し、かつコーラに関するポスターを作成して店舗の外に置く。これによって、消費者が店舗に入る前から、コーラのお手ごろ感が分かるようにしている。

その傍らで、零食很忙は店舗でスナック菓子を顧客単価30元(約624円)とやや高めの価格で販売している。おかげで店舗は一般的に18%から20%の粗利率を維持することができる。

 

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零食很忙が店舗で、1.9元(約39.52円)のコーラなどの低価格飲料を目立つ場所に配置する様子
(画像は零食很忙のニュースリリースから)

注目したいのは、零食很忙が各店舗の商品陳列方法を指導するための可視化空間管理システムだ。

同システムでは、陳列を決める権限は同社本部に付与されている。システム内で統合した50万個のバーコードからなる商品マップを通じて、同社本部のスタッフが商品の写真を簡単にドラッグ&ドロップするだけで、商品陳列マップを生成することができる。

その後、実際の陳列を実施するための商品陳列図を加盟店に送信。陳列完了後は、本部から実際の陳列がどの程度の効果をもたらしたかを示す効果図のアップロードを各店舗に対して要求。陳列後の効果を確認するようにしている。

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零食很忙の店舗の外観(画像は零食很忙のホームページから)

こうして、人間の感覚だけに頼るのではなく、ビッグデータ分析に基づいた商品間の相関関係などを基に、最適化された商品カテゴリーの構造を見いだして、商品を陳列することができる。また、具体的な店舗の在庫数量や販売能力に応じて合理的な陳列を行うことにもつながる。これにより、店舗従業員の作業量などを軽減し、均質な陳列を実現している。

 

 

 

星河動力(Galactic Energy)

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【会社概要】

星河動力(Galactic Energy)は18年2月設立の中国スタートアップ企業で、商用運搬ロケットの研究開発に注力している。同社は23年12月18日にシリーズCで11億元(約228億8000万円)の資金調達に成功した。

今回の投資には、北京大学傘下の大型コングロマリット「北大方正集団(FOUNDER)」の証券会社「方正証券」の子会社「方正和生投資(FOUNDER H FUND)」や、四川省資陽市が管轄する産業PE投資ファンド「資陽重産基金」などが参加している。

星河動力は今回の資金調達を受けて、複数回使用が可能な、液体燃料を推進力とする運搬ロケットの技術研究開発や生産、試験、そして発射施設の建設を進めていく。

【プロダクト】

星河動力は、中国国内の商用運搬ロケット領域のトップ企業として、設立以来、数々の記録を残してきた。例えば、国内民間ロケット企業で初めての量産成功から、短期間における複数回の打ち上げ、海上打ち上げ、9回連続打ち上げ成功などである。

その他、国内民間ロケット企業で初めての商業ネットワーク衛星を、高度500kmに位置する太陽同期軌道、高度800kmに位置する傾斜軌道、高度500kmに位置するドーンダスク軌道(太陽同期軌道の一種)など、複数の衛星軌道に投入することにも成功している。

星河動力の主力ロケットである「谷神星1号」は、主に小型の衛星ネットワーク構築やそのネットワークの補完、微小衛星の運搬などの市場ニーズに対応している。業界内では、最もコストパフォーマンスが高い、軽量小型商用ロケットであり、商業向けにデータを活用できる国内初の民間ロケットでもある。現在までに、このロケットは16の商用衛星を取り扱うサービスを顧客に提供し、35の異なるタイプの商用衛星の運搬に成功している。

 

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星河動力のロケット「谷神星1号」の様子(画像は星河動力の投資元である北航投資のニュースリリースから)

もう1つのロケット「智神星1号」は、液体酸素と灯油を燃料として繰り返し使用することが可能な中大型運搬ロケットだ。このロケットは、主に大型衛星ネットワークの構築や大型衛星の運搬などの市場ニーズに対応している。

現在、星河動力は、液体を燃料とするロケットの垂直回収(打ち上げられたロケットを再起動させ、陸上にある指定場所に帰還させる方式)を可能にする誘導制御技術の検証を積極的に進めており、このロケットに搭載されているエンジン「CQ-50」の複数の試験運転審査を完了している。このロケット自体も複数の大型地上試験を既に完了し、24年には軌道初飛行を正式に実施する予定だ。

注目したいのは、星河動力のロケット打ち上げ能力が、中国国内の宇宙ビジネス業界や商用の運搬ロケット領域において、トップクラスにあることだ。

高頻度のロケット発射は、宇宙ビジネスが初期の発展段階から成熟段階へ向かったり、実験室内のプロトタイプから標準化された工業製品へと向かったりしていく中で、必ず通らなければならない過程である。同時に、企業の組織能力や管理能力、保守能力、技術能力が問われる試練でもある。

星河動力は、20年11月7日から直近の23年12月5日まで、9回連続でロケットの打ち上げに成功。そのうち、同年8月25日に行われた第7回の打ち上げでは、谷神星1号運搬ロケットの打ち上げに成功し、衛星を予定軌道に正確に投入している。この打ち上げは、同年7月22日、同年8月10日のそれぞれの打ち上げ後に実施されたもの。それら3回の打ち上げに費やした期間は計35日と、極めて短いことが分かる。

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星河動力のロケット打ち上げ成功記録。20年11月7日から直近の23年12月5日まで、9回連続で打ち上げに成功している(画像は星河動力のニュースリリースから)

 

 

果壳心理(Guocare)

 

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【会社概要】果壳心理(Guocare)は2011年10月設立の中国企業で、青少年の心理研究に専念するカウンセリング機関として、心理学とAIの融合研究を通じた青少年向け心理誘導システムの開発に注力している。同社は24年3月14日にシリーズAで千万元レベルの資金調達に成功した。同社は、今回の資金調達を受けて、心理学とAIの接点に関する研究、青少年向け心理指導システムの研究開発を進めていく。

【プロダクト】
果壳心理は、自社独自のカウンセリングモデルである「果壳心理調節モデル8.0」を第8世代にアップグレード。心理的疾患を患う青少年を抱える多くの保護者から高い評価を得ている。同社は、過去13年間にわたり、10万人以上の家族に質の高い様々なカウンセリングサービスを提供してきた。

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果壳心理が2024年2月に開催した第8世代青少年カウンセリングモデル「果壳心理調節モデル8.0」発表会の様子
(画像は果壳心理のニュースリリースから)

 

 

宇測生物(Astrabio)

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【会社概要】

宇測生物(Astrabio)は2019年4月に設立された中国スタートアップ企業で、中国で初めて単分子免疫診断技術の工業化に成功したハイテク企業となっている。コア技術については、独立した知的財産権を所有。主には、新世代の単分子免疫診断技術の研究、開発、生産に力を注いでおり、中国国内の免疫検出分野における最先端技術開発の空白を埋める存在となっている。そして、同社は免疫診断技術における次世代の変化を促進することも期待されている。

【プロダクト】

宇測生物が開発した単分子解析戦略に基づく2つの認知症血液検査キットが、江蘇省薬物管理局によるクラスII医療機器登録証の認可を取得している。同社は、超高感度単分子免疫測定技術の優位性に基づき、ハイエンドの科学研究と臨床応用のニーズをカバーする単分子免疫測定装置と血液バイオマーカー超高感度検査キットの製品ラインエコシステムを構築。 新しいバイオマーカーの発見、科学研究、応用開発から臨床応用への転換まで、産業全体をカバーしたクローズドループを実現し、より多くの疾病の早期発見と診断を実現している。

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宇測生物の単分子免疫測定装置「AST-Dx90(上)」と「ST-Sc-Lite(下)」
(画像は宇測生物のニュースリリースから)

 

 

 

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