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毎週お届け 注目中国スタートアップ企業|2023年7月号

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悠跑科技(UPOWER)

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悠跑科技(UPOWER)は、21年4月に設立された中国スタートアップ企業で、スマート電気自動車用の特殊なシャーシを製造開発している。同社は23年5月18日にシリーズBで数億元(数十億円)の資金調達に成功した。

今回の投資では、資金調達額の第10位「同宜医薬」にも投資している「合肥産投」のほか、ハイテクおよび新興産業に注目する「火眼資本」、600億元(約1兆1940億円)を超える規模を管理するトップVC「経緯創投(matrix)」などが参加している。同社は、今回の資金調達を受けて、主に特殊なシャーシの技術革新と、それを基盤とした2つの製品である電気商用車と電気オフロード車(舗装されていないような山などでも運転できる自動車)の開発と量産を進めていく。

【プロダクト】

悠跑科技のメイン製品は、「UPスーパーシャーシ」というもの。これは、「電動化事前統合開発」と「スマート化シャーシ」の2つの技術で構成され、ソフトウエアとハードウエアの一体型車両操作システムを搭載した自動車のシャーシになる。中国初の量産可能なブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)機能搭載のスケートボードシャーシでもある。この技術は、完全ワイヤ制御によって車両のパワー、サスペンション、ブレーキ、ステアリングをデジタル化し、シャーシの動きの一体型制御を可能にしている。

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悠跑科技のブレーキ・バイ・ワイヤのスーパーシャーシ

(画像は悠跑科技のニュースリリースから)

注目したいのは、悠跑科技が23年3月、UPスーパーシャーシの量産を正式に発表したことだ。このシャーシは、完全ワイヤ制御の上下デカップリング設計により、下部ボディーを標準化する際に研究開発コストを最大60%削減し、研究開発サイクルも6~12カ月短縮できる。これにより、自動車メーカーはわずか12カ月で先進的なスマート電気自動車をゼロから造ることができるようになる。また、同社はこの UPスーパーシャーシを基盤として、初めての商用車の完成車製品である「スーパーVAN」を開発している。この製品は、既に国内外から受注を獲得しており、23年年末には納車が開始される予定だ。

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悠跑科技が開発中の商用車「スーパーVAN」のイメージ図

(画像は悠跑科技のニュースリリースから)

 

 

清洁捕獲(CLEANCO2)

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清洁捕獲(CLEANCO2)は、21年12月設立の中国スタートアップ企業で、回収した二酸化炭素(CO2)をセメント建材の製造に利用し、廃棄された二酸化炭素の効率的な貯蔵技術を研究開発する。同社は23年5月25日にエンジェルで1000万元(約1億9900万円)の資金調達に成功した。

今回の投資では、主にTMT(電子通信、メディア、テクノロジー)とヘルスケアという2つの領域でアーリーステージのスタートアップに注目するVC「元禾原点(ORIZA SEED)」、住友商事グループ傘下のPEファンド「住友商事亜洲資本(SCEA)」、娯楽文化産業のグループ企業「奥飛娯楽(gdalpha)」が参加している。同社は、今回の資金調達を受けて、二酸化炭素の無機化生産ラインの建設計画と技術開発を推進していく

【プロダクト】

清洁捕獲は二酸化炭素無機化の技術システムを開発。この技術システムは、固形コンクリートブロックの原料調達と製造段階において、セメントをフライアッシュ(火力発電所で石炭を燃焼した時に発生する灰)と鉄鋼生産の副産物である高炉スラグ微粉末に置き換えることができる。また、従来の高温蒸気養生プロセスの代わりに二酸化炭素無機化養生プロセスを適用することで、1000キログラムの製品を生産するに当たって、二酸化炭素の排出量を108.12キログラム削減できる。

こうして、清洁捕獲は、二酸化炭素の排出量を80%削減した低炭素コンクリート製品を提供するだけでなく、二酸化炭素の大規模かつ安定的な貯蔵を実現。従来は一方的に二酸化炭素を排出する建材であったコンクリートを、二酸化炭素吸収源へと転換すると同時に、コンクリートの強度と耐久性を向上させるというCCUS(二酸化炭素回収・貯留)のアプローチの開発とその応用に成功している。

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清洁捕獲の生産プロセス

(画像は清洁捕獲のニュースリリースから)

注目したいのは、香港上場の不動産開発企業「恒隆地産(HANGLUNG PROPERTIES)」との間でCCUS技術に関して2年間にわたる提携を結び、共同で事業を展開することだ。両社は、二酸化炭素の鉱物化を促進する廃棄コンクリート用低炭素再生骨材技術の開発と「清洁捕獲固形コンクリートレンガ」の商業化などの面で提携。浙江省杭州市の杭州恒隆広場やその他の商業プロジェクトにおける潜在的な二酸化炭素の排出量を削減していく。そのうち、杭州恒隆広場は、中国本土および香港で初めて、二酸化炭素から製造されたコンクリートを使用した商業施設となる。

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清洁捕獲のコンクリート製品

(画像は清洁捕獲のニュースリリースから)

 

 

麦田能源(FOXESS)

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麦田能源(FOXESS)は、19年6月設立の中国スタートアップ企業で、商工業者や家庭などのエンドユーザーが、新エネルギーの発電、貯蔵および消費までの全プロセスを管理できるように支援する。同社は23年5月26日にPre IPOで10億元(約199億円)の資金調達に成功した。

今回の投資では、長年にわたって新エネルギーと半導体に焦点を当てている産業投資機関「朝希資本(SPARKEDGE CAPITAL)」がリード投資家となっている。同社は、今回の資金調達を受けて、主に生産能力の増強と日常業務の運営を進めていく。

【プロダクト】

麦田能源は、新エネルギー企業として、家庭用蓄電システムや太陽電池から発電された直流電流を交流電流に交換する太陽光発電用グリッドタイインバーター(太陽電池から発電された直流電流を交流電流に交換し、外部電源の電気を電気網に投入できるようにする電力変換装置)、そして新エネルギー自動車充電ステーションなど一連の製品をそろえている。同社の製品は、主に欧米を中心とする世界の主要な新エネルギー市場で販売されている。同時に、同社は、世界中に多くの子会社や事務所を構えるだけでなく、多くの国や地域の販売会社、電力会社、エネルギー協会などと緊密な関係を構築。これにより、包括的なグローバル販売ネットワークを築き上げている。

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麦田能源の製品の一部

(画像は麦田能源のニュースリリースから)

注目したいのは、今回の資金調達をもって、麦田能源の評価額はわずか半年余りで数十億元から百億元(約1990億円)以上に上昇し、わずか4年間でユニコーン企業に成長していることだ。その背後には、同社が持つ4つの強固な競争力がある。1つ目は、同社が早くから、完備かつ統合された家庭用蓄電システムソリューションを提供するという戦略方針を打ち立てていること。2つ目は、中国国外のグリッド構造の多様さを考慮し、家庭ユーザーの多様なニーズを満たすために、製品の適合性を高めていること。3つ目は、将来を見据えて安定した生産ラインの建設と大量生産および供給のための規模拡大を実施していること。そして、4つ目は、ユーザーのアフターサービスおよびサポートのネットワークを構築し、改善を繰り返すサイクルを構築していることが挙げられる。

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麦田能源の製品を構成する部品は、世界トップレベルのサプライヤーから提供されている

(画像は麦田能源のニュースリリースから)

 

 

国鈦金属(National Titanium Metal)

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【会社概要】

国鈦金属(National Titanium Metal)は、19年10月に複数のチタン製造企業を合併して設立された企業で、現在世界最大のスポンジチタンの生産企業となっている。同社は23年5月28日に戦略投資で22億7200万元(約452億円)の資金調達に成功した。

今回の投資では、先進製造領域に特化したVC(ベンチャーキャピタル)「深創投(SCGC)」と国務院直属の中央企業「中国建材集団」傘下の新材料分野に特化したファンド「中建材新材料基金」、そして雲南省楚雄市人民政府が100%出資する国営企業「楚雄州国有資本投資集団」が参加している。同社の企業評価額は、今回の資金調達をへて、ユニコーン企業レベルに達すると推定されている。

【プロダクト】

チタンは希少金属(レアメタル)の一種。強度が高く軽いことなどが特長で、航空機や化学プラントなど幅広い用途に利用されている。スポンジチタンは、チタンの製造に必要な原材料のうち、59%を占めている主要な原材料の一種。国鈦金属は、「チタン鉱石→チタン精鉱→高濃度チタンスラグ→四塩化チタン→電解マグネシウム→スポンジチタン」というスポンジチタンを生産するラインの全工程をおおむねカバーしている。

また生産技術のスマート化により、マグネシウム還元、チタン蒸留、マグネシウム電解、チタン塊切断などの工程において、システムによる自動判断といったスマート化されたオペレーションを実現している。国鈦金属は全工程の自動化生産に向けたスマート化を推進しており、効果的にスポンジチタンの生産コストを削減するとともに、エネルギー消費量を低減。いわゆる「三廃」(排ガス、廃水、固体廃棄物)の排出と環境汚染の低減を可能にしている。

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国鈦金属が生産したスポンジチタン

(画像は国鈦金属のニュースリリースから)

注目したいのは、国鈦金属は既に年間5万トンのスポンジチタンの生産能力を有していることだ。同社は、国際的にも水準の高いマグネシウムの還元蒸留工程と「逆U字型複合炉」による生産工程を備えており、複合的生産工程を通じたスポンジチタンの生産体制を整えている。これら2つの工程を組み合わせることで、それぞれの強みを補完し、製品の品質と生産効率を向上させている。23年には、国鈦金属のスポンジチタンの生産能力は年間8万トンに達する見込みだ。

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国鈦金属の生産基地の外見

(画像は国鈦金属のニュースリリースから)

 

 

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