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毎週お届け 注目中国スタートアップ企業|2023年5月号

ジャンシン(匠新)は自社メルマガ「中国イノベーション通信」にて下記の注目中国スタートアップ企業を含めた、中国イノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を毎週配信しております。メルマガの無料購読にご興味のある方は下記からお申し込みくださいませ。

 

 

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英雄体育(VSPO)

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英雄体育(VSPO)は16年5月設立の中国スタートアップ企業で、数十におよぶeスポーツの世界的なIPの公式大会の主催や共催を行う。同社は、23年2月17日にシリーズCで18億元(約348億円)の資金調達に成功した。今回は、サウジアラビアのソブリンウェルスファンド(政府系ファンド)100%出資のゲームEスポーツ企業 Savvy Games Groupが単独投資を行っている。

【プロダクト】

英雄体育は、eスポーツ産業全体のエコシステムを構築する。同社は、多様な収益パターンを形成しており、コンテンツ制作からeスポーツ商業化、バーチャルeスポーツ、eスポーツTV、eスポーツ複合運営、eスポーツ流行文化IP運営などのeスポーツ産業サービスのエコシステムをもつ。近年、同社のグローバル化が徐々に進むにつれて、その他国家・地域での業務が急増し始めているという。産業発展の「技術主導」を重視する同社にとって、事業の難易度と需要量の増加は、技術進歩のプラス要因となっている。

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英雄体育が主催するeスポーツ大会実施中の様子

(画像は英雄体育のニュースリリースから)

注目したいのは、英雄体育が、中国の大手eスポーツイベント運営会社として、近年、中東のeスポーツ市場に深く関わっていることだ。同社は、これまでにドバイで最初のeスポーツフェスティバルを開催。19年にサウジアラビアの首都リヤドで、PMSC(PUBGモバイル・スターチャレンジWカップ)のサウジアラビア初上陸を成功させており、中東、北アフリカから16チームが参加。今回、eスポーツ業界の資金調達で記録的な金額を達成した背景には、サウジアラビア政府との強固な長期パートナーシップと綿密なコミュニケーションに加え、eスポーツのビジョンを共有し合い、同社の技術的強みと将来のグローバル化戦略が評価されたからだと考えられている。

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左からSavvyグループCEOのブライアン・ワード、

Savvy取締役会副会長兼サウジアラビア王子のファイサル氏、

英雄体育創業者兼取締役会長の応書岭(イン・シューリン)氏、

英雄体育共同創業者兼CFOの唐丹妮(タン・ダンニー)氏

(画像は英雄体育のニュースリリースから)

 

 

中科微感(CSMS)

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中科微感(CSMS)は22年6月に設立された中国スタートアップ企業で、においをデジタル化する製品の開発・製造・販売を行う。同社は23年3月28日にエンジェルで数千万元(数億円)の資金調達に成功した。今回の投資では、ディープテック(先端技術による課題解決)に特化するテクノロジー孵化プラットフォーム「中科優勢(Tech Capital)」と、FA(財務顧問)や技術取引サービスを提供する企業「探究資本(T9 Capital)」が参加している。

【プロダクト】

近年、マイクロ・ナノ技術によるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)のビジネス化における成熟化に加え、IoTやビッグデータなどの技術の発展により、においをデジタル化する「においデジタル化」市場が徐々に興隆している。そのトレンドの中で、気体センサーとデジタル化プラットフォームを通じて、食品の品質や工業材料の品質、空気質、そして体の健康などのモニタリング作業を効率化することを望む企業が増加している。一方で、中国市場におけるにおいのデジタル化は、多くの領域で、まだサービスを提供する企業が存在しない、いわゆる空白の状態が続いている。特に、ミドル・ハイエンド向けの気体センサー市場は、海外企業によって独占されているのが現状だ。

その中で、中科微感は、MEMS気体センサーや気体センサーアレイモジュール、スマートにおい分析設備、そしてにおいデータベースサービスの4つの製品を中国国内で既に、設計段階から自社開発している。同社は現段階で、健康、品質、安全という3つの大きな方向性に焦点を当てており、スマートホーム、環境モニタリング、工業製品、自動車電子製品、食品安全、スマート医療という6つの大きな分野を対象に業務を進めている。

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中科微感の気体センサーアレイモジュールとにおい品質管理装置

(画像は中科微感のニュースリリースから)

注目したいのは、中科微感は最新のMEMSをベースにしたにおいセンサーの量産化を実現し、多分野での商業化を積極的に進めていることだ。同社は、中国の各分野のトップ企業と事業提携し、スマートホーム市場への参入を進めている。その他、研究機関向けのスマート測定装置を対象に、10社以上の顧客と連携しているほか、医療分野では関連病院と連携し、医療用においデジタル化実験室の設立を進めている。23年には、エネルギー貯蔵分野向けの検知モジュールも発売する予定だ。

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中科微感の人間の呼気検知製品

(画像は中科微感のニュースリリースから)

 

 

深向(DeepWay)

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深向(DeepWay)は20年7月設立の中国スタートアップ企業で、スマート新エネルギートラックの研究開発および製造を行っている。同社は、23年3月28日にシリーズA+で7.7億元(約151億3000万元)の資金調達に成功した。今回の投資では、ソフトバンク系列の中国投資会社「軟銀中国資本(SBCVC)」と医療健康、IT、クリーンテックの3つの領域に特化した中国VC(ベンチャーキャピタル)大手「啓明創投(Qiming Venture Partners)」、そして中国最大の綿織物メーカー「魏僑創業集団(WEIQIAO PIONEERING)」が参加している。

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DeepWay初の新エネルギー大型トラックモデル「深向星辰」

(画像はDeepWayのニュースリリースから)

【プロダクト】

DeepWayは、中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)と商用車を主とする物流業界のデジタル化技術ソリューション企業である狮橋集団(Lionbridge)の合弁会社として設立された。同社の社長兼CEO(最高経営責任者)には、狮橋集団の創業者である万鈞(ワン・ジュン)氏が就任している。同社は、創業初期からの2大株主であるこれら2社のリソースを充分に活用。バイドゥは、同社に対して、自動運転研究開発能力の面で、Lionbridgeは製品の定義づけから実装シーン、そしてデータ蓄積などの方面でノウハウを提供している。

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「深向星辰」のスマートコックピット

(画像はDeepWayのニュースリリースから)

注目したいのは、DeepWay初の新エネルギー大型トラックモデル「深向星辰」が23年6月30日、その正式量産と納車を開始する予定となっていることだ。「深向星辰」は、モーターによる動力分散方式や空気抵抗を最低限に軽減するための流線型車体、バッテリーとシャーシの統合、水素燃料電池同一同時搭載モジュール化設計など、過去に前例のない理念と構造を採用している点が特徴だ。

車両全体には、DeepWayが自社開発したHIS(Highway Intelligence System)システムを搭載することで、「レベル3」(条件付き自動運転)の自動運転の大規模な商業化に向けた量産の需要に応えられる。加えて、データを蓄積した後にレベル4への移行も可能だ。車両の動力源については、充電、バッテリー交換、水素エネルギーの3つのモードを備えており、そのうち充電・バッテリー交換モードでは、49トンの満載状態において、最大300キロメートルの航続距離を確保できる。同社は2023年、車両を1000台納車する予定となっている。

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DeepWayのバッテリーステーションでは、

世界初の大型トラックの車両下部に搭載したバッテリー交換を6分間で完了できる

(画像はDeepWayのニュースリリースから)

 

 

杉数科技(Cardinal Operations)

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【会社概要】

杉数科技(Cardinal Operations)は、16年7月設立の中国スタートアップ企業で、データの最適化アルゴリズムとスマート意思決定モデルに基づき、膨大なデータ環境によって発生する複雑な問題の最適結果の算出ソリューションを提供している。同社は23年3月31日にシリーズC+で5億元(約98億円)の資金調達に成功した。今回の投資では、広州越秀金融控股集団(YUEXIU CAPITAL HOLDINGS)傘下のファンド運用機関「越秀産業基金」と、国務院の承認を得て設立された中国開発銀行(CHINA DEVELOPMENT BANK)の100%子会社「国開金融」が参加している。

【プロダクト】

スマートな意思決定を実現するには、まずは、一つの問題に対して、存在する意思決定の対象や制約条件、好み、そして目的などに基づいて、数学的なAI(人工知能)モデルを作成する。そして、そのAIモデルにデータを入力し、機械学習などを通じて最適化をする。その改善されたAIモデルは、問題の最適解を導き、最適な意思決定に繋がる。

杉数科技のスマートな意思決定を実現するAIモデルを通じて、小売業のスマートサプライチェーンや製造業のスマート工業製造、交通・エネルギーなどのインフラ施設の最適化などの様々な分野で応用ができる。

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杉数科技のスマート意思決定ソリューションを応用した顧客一覧

(画像は杉数科技のニュースリリースから)

注目したいのは、杉数科技が、23年3月30日に北京で開催した「企業の成長を再構築するためのスマート意思決定」をテーマとするサミットだ。同社は、同サミットにおいて、FMCG(日用消費財)業界と工業・製造業向けに2つの新製品であるサプライチェーン計画プラットフォーム「計画宇宙(Planiverse)」とスマート意思決定プラットフォーム「杉数数弈(LibraMind)」、そしてオペレーション最適化のコア技術であるソルバー(計算プログラム)「COPTバージョン6.5」を発表した。

ASU(アリゾナ州立大学)のHans Mittelmann教授が手掛ける国際的に認められているテストランキングによると、同社のCOPTバージョン6.5は、20以上のテスト項目のうち、5項目で1位、またその他の5項目において2位という好成績を定めている。また、同社は19年5月にソルバーの初回バージョンをリリースしてから75%以上の期間において、同社のモジュールの1つが、ランキングの1位を占めるいう高い国際競争力を見せた。

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杉数科技が開催した「企業の成長を再構築するためのスマート意思決定」をテーマとする

サミットの様子

(画像は杉数科技のニュースリリースから)

 

 

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