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中国双創ナイト「コロナウィルス×育児・教育」

2020年5月21日(木)に中国双創ナイトをZoomによるオンラインでのウェビナー形式で開催しました。

第17回目となる今回は、テーマを「コロナウィルス×育児・教育」としました。今回、登壇者には、中国の育児・教育分野で活躍される2名を招き、中国の育児・教育についてのマクロな分析、日本と中国の絵本市場の違いや今後のトレンドについて解説・討論していただきました。

※「中国双創ナイト」は、中国の双創(「創新(イノベーション)」と「創業(スタートアップ)」)について、情報を共有し、お互いに理解を深めることを目的としています。

以下では、匠新インターン生である三浦慎之介が、当日のイベントの様子について、報告させていただきます。

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イベント中フリートークでの登壇者の様子

中国の育児教育市場をマクロな視点より解説

最初の登壇者は、元アリババグループ副総裁、元レンレン公司CMOを歴任され、現在Bowhead Technology創業者で現CEOの江 志強氏。

Bowhead Technologyは子供を持つ家庭のウェルビーイング向上を目指しており、子供向けのスマート水筒の開発を通じて子供の水分補給と健康増進を促しています。将来的にはゲーム化等のI Pビジネスを展開し、子供専用の健康スマートプラットフォームへの進化を目指しています。

アメリカで初めてのスマート水筒をローンチ後3年で世界累計10万台以上の売り上げを達成、ユーザーの国籍は数10カ国にわたり、日本市場には1年近くの準備期間を費やし、6月5日にスマート水筒「Gululu」のローンチが予定されています。

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Bowhead Technology日本進出のご紹介

江氏によると中国ベビー·マタニティ関連市場は拡大を続けており、ここ5年ほどは年16%の成長率を維持し、2018年で3兆元(約45兆円)の規模となっています。

その背景には若い世代が経済的な負担などを嫌い、出生率は低下しているものの、7割強の子育て家庭で祖父母が育児や経済的支援を行うため、0〜6歳の子供を養育する人は2.78億人も存在することが考えられます。

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江氏の登壇の様子1

そして、中国の育児分野での特徴としてテクノロジーの利用を例に挙げ、中国では比較的オープンに子供の写真をSNSにアップしたり、ママ同士でグループを作成し情報を交換し合うといった特徴があり75%の家庭で育児アプリを利用しているようです。

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江氏の登壇の様子2

また、子供向け玩具の市場規模は800億元(約1兆2000億円)を突破し、各企業がAI、IoT分野の投資に力を入れています。江氏自らも注目しているという子供向けスマートウォッチは2010年からスタートし、2020年には5500万台、市場規模は180億元(約2700億円)となっています。ご自身が取り組んでいるスマート水筒に関しては、具体的なコメントは差し控えたものの、水筒自体も既に800億元(約1兆2000億円)の市場があり、育児教育分野と子供向け玩具市場のスマート化に続く可能性がありそうです。

日本と比較した中国児童書市場消費者の特徴とは?

続いての登壇者は、北京薄薄蘭文化発展有限公司(ポプラ社)の江崎肇氏。

まず江崎氏によると、中国の書籍市場は世界でもまれで、紙書籍が成長中だそうです。その内訳は児童書が社会科学の書籍と並び26%と首位で、市場の成長を牽引しています。またECによる書籍の購入も顕著で、日本の13%に比べて中国は70%と非常に多くの人がECを利用しています。

また、中国の児童書書籍市場は中国のソフトカバーで安価な本を60冊や100冊といった単位で販売していることが多く、これまでの比較的高価格なハードカバーの海外書籍でも出せば売れるという時代から変化しつつあります。

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江崎氏の登壇の様子1

その背景には、中国では絵本は子供の教育のためのツールであると捉えられることも多く、保護者が教材としてECでまとめ買いすることがあり、量は図書館で済ませ、本当に読みたいものを書店で手に取る日本市場との違いもあります。

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江崎氏の登壇の様子2

このような特徴を持つ中国市場で、江崎氏の勤めるポプラ社ではマーケットインの発想で主力の絵本である宮西達也先生のティラノサウルスシリーズをソフトカバーで製作したり、中国発のオリジナル「我是熊猫(ぼくパンダくん)」シリーズを展開するなどに注力しているようです。

コロナウィルスと絵本業界中国側がとった対策と予測

コロナウィルスが中国絵本業界に与えた影響として、実店舗が通常通りの営業ができず、書籍業界全体の売り上げは1〜3月でマイナス30%、そんな中絵本への影響は比較的軽微でECへの集中傾向が加速しました。さらに江崎氏は絵本業界における中国企業のスピードにも注目し、江崎氏によると2月後半から3月にかけてコロナウィルス関連の書籍が3〜40冊程も出版されたようです。

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江崎氏の登壇の様子3

そして江崎氏はコロナ後の絵本業界の展望として、伝統的な絵本がオンライン化するかに関してはオーディオブックや絵本を朗読するロボット等の盛り上がっているものの、著作権や契約の問題もあり、海外ベストセラーが中国オリジナル版に駆逐されないためにも今まで以上に変化に対応するスピードが必要だと指摘しました。

今回の双創ナイトでは、中国の育児・教育分野の市場の拡大に関して、Bowhead Technologyの江氏とポプラ社の江崎氏の御二方に、マクロ的な分析と、中国の消費者の特徴やそれに応じたご自身の製品開発及び戦略に関してもご紹介頂きました。ただ単純に規模が拡大しているというだけでなく、新たなテクノロジーが積極的に採用されている中国市場では、その変化に柔軟に対応することが、企業や製品が淘汰されないために必要であると再確認できたことかと思います。

Q&A及びフリートークの中では、ご参加頂いた240名以上の参加者の方々から多くのご質問を頂き、お二人の会社の製品や今後の戦略などから、日中の飲水事情やメディア事情まで多岐に渡り、大変盛り上がりました。

特にBowheadTechnologyの今後の製品展開についてのトークの中では登壇者のお二方双方がコラボに関して前向きな姿勢を示されていたりと、両社の今後の取り組みについても目が離せないでしょう。

このように、匠新は日本の大企業と中国のスタートアップ企業双方のオープンイノベーションを推進するプラットフォームとして、日中のビジネスにおける協力の幅を広げ、両国の持続的発展のために貢献できるよう、尽力して参ります。

今後の双創ナイトを筆頭とするイベントに関しては、オンライン開催であるがゆえに、気軽に参加することが可能です。「このブログ記事を読んで、双創ナイトに興味が出た」という方はぜひ次回ご参加ください。

日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、匠新が配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。

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また「中国イノベーション通信」ではイベントの告知以外にも、中国のイノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を掲載させていただいております。購読を希望される方は弊社までお問い合わせください。

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