回到网站

中国双創ナイト「中国ベンチャー投資」

2021年4月13日(火)に中国双創ナイトをzoomによるオンラインでのウェビナー形式で開催しました。第27回目となる今回は、「中国ベンチャー投資」をテーマに行いました。本イベントでは、ドリームインキュベータで12年の経験を持ち、現在は日中間のベンチャー投資·コンサルティングをしながらNewsPicksでプロピッカーとしてご活躍されている板谷氏をお招きして、中国スタートアップ投資について解説いただきました。板谷氏はジャンシン(匠新)が主催する研修プログラム「匠新塾」の講師も務められております。そして後半では弊社創進加速事業部アソシエイトディレクターの崔より中国ベンチャー投資の最新動向を紹介させていただきました。今回のイベントの様子をジャンシン(匠新)インターン生の三浦慎之介がレポートいたします。

まず冒頭では、米中摩擦や中国政府によるIT巨人(バイドゥ、アリババ、テンセント等)への締め付けという昨今の状況もあって、中国への投資に対して不安を覚えている方に対して、板谷氏はファクトを紹介することで誤解を解き、理解の擦り合わせを行いました。

broken image

【画像1】

画像1のように、世の中で言われることと中国に精通する板谷氏の見解には乖離があります。このように板谷氏が世間の不安にも関わらず中国への投資に自信を持っていることにも理由があります。それは中国におけるリスクやコストの高騰を避けて、日本企業が海外拠点を東南アジアなどに移転する動きである「チャイナプラスワン」の流れが進む2014年において、既に画像2のスライドのような見解を示しており、2021年現在を予見するものも多くあり、その経験を踏まえているからです。

broken image

【画像2】

続けて、これらの見解の裏付けとなるファクトを見ていきます。

broken image

【画像3】

「中国のイノベーションは停滞に向かいつつある…」という声に対してですが、2015~2018年のバブル的熱狂が過ぎたのも事実ですが、投資環境は洗練されつつあります。具体的には、当時乱立した人民元ファンド×有象無象の経営者の組み合わせは淘汰され、現在ではプロVC·IT巨人のエコシステム投資×連続企業家/BAT出身経営者の組み合わせが飛躍しています。これにより、投資全体の件数は減ったものの、投資1件あたりの金額は大きくなっています。また、IT巨人による投資は増加傾向にあり、特にテンセントは週に10件ほど投資しています。投資を受ける経営者の側も変化しつつあり、中国ユニコーン222社のうち6割以上の経営者が大学院卒以上の学歴、5割以上がIT巨人を主とする中国企業で3割が外資系企業出身となっています。 次に投資の出口側(上場や売却)です。

broken image

【画像4】

画像4のように、シリーズAの投資件数は1500件近くあり、既に日本の2倍以上になります。IPOに関しても500件以上あり、米国や香港、中国本土でも20年は前年度で2倍近く増加しています。このことから、単純計算で30~40%の投資がExitしているのではと板谷氏は分析しています。

broken image

【画像5】

画像5のように、(A)政策(B)人材排出源(C)業界未成熟(D)労働力の4つのドライバーが中国の知能化を進める要因となっています。

broken image

【画像6】 

さらに、インフラ投資も加熱しており、政府主導で「新基建」が進められています。板谷氏によると、これはリーマンショック時に行われたインフラ投資の現代版とのことです。2008年から2017年までの間に高速鉄道の路線が37倍も伸びたことを考慮すると、スマート化/デジタル化、そしてそれらを活かした新インフラ投資が今後伸びないと考える方が難しいとの見方を板谷氏は示しました。

broken image

【画像7】

broken image

【画像8】

最後に、注目度も高く、不安も大きいであろう米中摩擦に伴うデカップリングについてもファクトベースで説明してくださいました。画像7に見られるように、海外投資家による中国本土への投資は場合によっては香港を経由しながらも加速を続けています。また、画像8に見られるように米国上場した中国企業も高い評価を得ています。これらのことから、米中のデカップリングはイメージするほど深刻ではないと板谷氏は結論付けました。

続いて、弊社でファンド事業を行なっている崔から中国ベンチャー投資の最新動向についてご紹介させていただきました。 

まず、中国版ナスダックである科創板上場ランキングを見てみると、やはり前半に板谷氏がご紹介していた通り、スマート化/デジタル化を牽引しインフラとの親和性が高い新世代情報技術の勢いがあります。

broken image

【画像9】

そして、崔によると新世代情報技術以外に注目すべき分野として、医療・ヘルスケアと新消費(消費アップデート)が挙げられます。

broken image

【画像10】

broken image

【画像11】

画像10、11でみられるように、医療・ヘルスケア関連へのベンチャー投資は110億米ドル、ユニコーン企業の数も55社にのぼり、どちらも前年比2倍となっています。

次に、新消費(消費アップデート)に関しては、中国国産ブランドや日本発のコンセプトを取り入れたものが消費トレンドを牽引しています。

broken image

【画像12】

過去の中国双創ナイトでも取り上げられている中国D2Cブランド「完美日記(Perfect Dairy)」や、日本のガチャガチャをコンセプトにフィギュアや雑貨を扱う「泡泡瑪特(Pop Mart)」の上場が中国Z世代の消費を盛り上げています。これ以外の消費材でも多くの分野が注目されており、画像13のように多岐にわたります。

broken image

【画像13】 

その中でも一例として「元気森林(イェンチーセンリン)」、「花西子(ファーシーズー)」が紹介されました。「元気森林(イェンチーセンリン)」は日本的コンセプトを打ち出し、ゼロカロリー/ゼロシュガーなどで中国の消費者に受け入れられています。両者共にSequoia Capitalなどの海外の一流VCからの資金調達に成功しており、高い注目を得ています。

broken image

【画像14】 

最後のディスカッションでは弊社CEOの田中を交えて、板谷氏とともに日本企業に対する期待の例とレベル感についてより踏み込んだ議論を行うことができました。また、オフライン会場での参加者/オンラインの視聴者の皆さまから寄せられた質問にもお答えしながらインタラクティブな交流ができました。

broken image

【画像15】

画像15のように、中国企業による日本からの投資を求める声も高まりつつあるようです。日本発のコンセプトを中国式に取り入れて成功している企業との事業でのシナジーや、資金面の関与で利益を出すなど、中国への投資から得られるものは多くあることをイベント全体を通して共有できました。お時間の関係上、具体的な投資の戦略などに踏み込んでお話しすることはできませんでしたが、続きは「匠新塾」でさらに実用的な部分を取り扱いますので、ご関心のある方は是非ご参加ください。

ジャンシン(匠新)は今後も、毎月開催している「中国双創ナイト」をはじめとする各種イベントはZoom等を用いてオンライン開催にする予定です。参加も無料で、他では聞けない中国の最新動向から、ビジネスにつながるイベントまで、豊富なコンテンツをご用意いたしますのでどうぞ気軽にご参加ください。日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、ジャンシンが配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。

 HP:http://www.takumi.ltd/blog

Facebook:https://www.facebook.com/f.takumi.ltd

また「中国イノベーション通信」ではイベントの告知以外にも、中国のイノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を掲載させていただいております。購読を希望される方は弊社までお問い合わせください。

Email:info@takumi.ltd