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中国双創ナイト「中国小売業界のDXと日系企業のビジネスチャンス」

本イベントでは、アリババジャパンの新規事業開発担当部長の小滝氏より「ECを中心とした中国消費市場のトレンドとアリババグループの取組み」をご解説いただき、中国企業と海外企業とを合わせて3,000社超の小売業界に顧客管理ソリューションを提供する中国企業「数雲」の劉氏より「顧客データ管理のデジタル化によるマーケティングの更なる価値」についてご解説いただきました。また、匠新の厳開からは中国小売DXの推移やパブリックトラフィックとプライベートトラフィックを解説し、デジタル時代人のペルソナについてもお話させていただきました。

今回のイベントの様子をジャンシン(匠新)インターン生の方思雯がレポートいたします。

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【画像1】

まず、アリババの小滝氏はアリババの中国EC事業の流通総額の推移図と、各国のEC市場規模の比較グラフを示し、2019年にECは中国の小売市場全体の三分の一を占めており、同時期の日本と米国と比べて中国が大きなECマーケットを持っていると説明しました。さらに、コロナ禍で中国小売業全体がマイナスに転じても、非対面の販売手段であるECの市場規模は堅調に成長を続けました。

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【画像2】各国EC市場の規模比較(2019年)

コロナ禍での「買い物」「外食」「海外旅行」はそれぞれ「EC」「デリバリー」「越境ECおよびバーチャルトラベル」に変わりました。ただしこれらは「目的」は達成できますが、リアルな生活で体験できるインタラクティブ性に欠けます。そのため、ECの欠点を補うライブコマースが盛んになり、年間(2020.4.1~2021.3.1)でタオバオライブを経由した流通額は85,000億円以上を達しました。また2021年まで中国におけるライブコマースの市場規模は31.2兆円を上回ると予測されています。そしてライブコマースは画像3のように、大きく2つの形態に分けることができます。

  • 大きなトラフィックを発生させて一気に認知度を上げることを目指す「スターKOL(Key Opinion Leader)型」
  • 消費者のブランドや商品に対する理解を深め、顧客のロイヤリティを高められる「店舗自営型」

*「アリババグループ、 2021年1-3月期及び2021会計年度の決算を発表」『アリババジャパン』 https://www.alibaba.co.jp/news/2021/05/-20211-32021.html,2021年7月29日閲覧

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【画像3】ライブコマースの2形態

次に、越境ECとバーチャルトラベルについて解説いただきました。経済産業省による「電子商取引に関する市場調査」では日本から中国向けの越境ECの消費額は2019年段階で1.65兆円で、同年中国人訪日客のインバウンド消費額の8,695億円と比較すると倍程度にあたり、非常に大きいことが分かります。また、バーチャルトラベルも流行っており、中国でのロックダウン中に旅行に行けなかった代わりに、ライブ中継を使って擬似的に旅行していただくシリーズも生まれました。

最後に、データテクノロジーを活用して小売業をデジタルトランスフォーメーションするニューリテールについて、画像4にある零售通(LST)と盒馬鮮生(フーマーフレッシュ) を具体的に紹介しました。アリババが取り組むデジタルトランスフォーメーションはビジネスでも生活でも発生する「めんどくさい」をデータテクノロジーで解消していくことが目的であると小滝氏は述べていました。

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【画像4】New Retailの主要サービス

後半ではまず匠新の厳開から以下の3点より中国小売DXの推移とその背景を説明しました。

  • EC時代からトラフィック時代へ
  • トラフィックから購買へのコンバージョン ライブコマース
  • なぜ中国の多くのインターネット企業が新エネルギー自動車業界に入るのか
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【画像5】パブリックトラフィック⇨プライベートトラフィック⇨購買に転換

淘宝網(タオバオ)、抖音(ドウイン)、美団 (メイトゥアン) などのパブリックプラットフォームから得られるトラフィックにおいて以下の課題が考えられ、そこで鍵となるのが「顧客のペルソナ」です。

  • どう自社の顧客を探すのか
  • プライベートトラフィック上の顧客像をどう認識・定義すべきか
  • 以上2点を踏まえてどう効率的にマーケティング運営していくのか

抖音(ドウイン)では「千人千面」という言葉があるように、様々な顧客のペルソナがあります。ユーザーがプラットフォームで登録行為あるいは購買行為をすると、データとして記録されビックデータとAI技術でその顧客のペルソナを認識します。この認識により、マーケティング活動とブランド戦略等の明確な方向性を示します。 

中国小売の競争はトラフィックの競争です。そのため、顧客ペルソナ(タグ)を判明して、トラフィックを握るのがデジタル時代の小売での重要な鍵です。

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【画像6】人のペルソナによる小売の実施事例

3人目の登壇者は数雲エキスパートアドバイザーの劉松氏です。数雲はオンラインとオフラインなど全てチャネルでのマーケティングに注力しており、ソフトウェア製品や顧客データ管理など、小売業界にワンストップデータ管理ソリューションを提供しています。大きく技術サービスと運営サービスに分かれて、顧客のデータを分析して統合し、ロイヤリティ管理や顧客体験管理などの面でより適したソリューションを提供しています。

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【画像7】ソリューション概要

劉氏は数多くのブランドを持っている資生堂のケースを例として挙げました。第一ステップは既存会員を中心とした顧客管理システムを整合・分析し、以下の3点をポイントとして会員ロイヤリティシステムの構築をします。

  • 多数チャネルでの会員と棚卸しデータの整合
  • 自動化マーケティングツールの導入
  • データの洞察と分析

第二ステップは、「会員管理から顧客管理へ」となります。画像7は潜在顧客がパブリックプラットフォームでメーカーへの関心を持ち、初回購買から会員登録、また再購入するまでの流れです。会員登録で登録した電話番号をもとに、会員の消費行動の追跡ができ、ペルソナが明確に判別できます。またその後、グルーピングしたペルソナのセグメンテーションに基づき、そのペルソナに合ったパブリックプラットフォームでのマーケティングへも繋げます。

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【画像8】資生堂オムニチャネルでのCRM

近年、購買のデジタル化が進むにつれ、各国のEC市場の規模が大きくなり、特にコロナ禍でのEコマースが更に普及した中国では、ライブコマースやニューリテールなどの様々な形態が生まれました。そのため、顧客のデータ管理と企業へのデジタル支援は極めて重要な鍵です。日系企業が中国のデジタル化の流れに乗るためには、この2つの鍵をうまく掴むことが必要です。 

ジャンシン(匠新)は今後も、毎月開催している「中国双創ナイト」をはじめとする各種イベントはZoom等を用いてオンライン開催にする予定です。参加も無料で、他ではなかなか聞けない中国の最新動向から、ビジネスにつながるイベントまで、豊富なコンテンツをご用意いたしますのでどうぞ気軽にご参加ください。

日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、ジャンシンが配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。

また「中国イノベーション通信」ではイベントの告知以外にも、中国のイノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を掲載させていただいております。購読を希望される方は弊社までお問い合わせください。