2021年9月16日(木)に中国双創ナイトをzoomによるオンラインでのウェビナー形式で開催しました。第29回目となる今回は、「中国育児·ペット市場の最新動向とデジタル事業構築最前線」をテーマに行いました。
本イベントでは、中国でショートムービーを中心とした育児メディア「Babily(ベイビリー)」を運営するワンドット株式会社代表取締役CEOの鳥巣氏をお招きし、最近特に話題になっている少子化及び育児市場やペット市場の動向、ワンドット社が取り組むデジタルマーケティングをご解説いただきました。また、中国での起業や新規事業をするチャンスと課題についてもお話しいただきました。
そして後半のパネルトークでは匠新CEOの田中がモデレーターを務め、鳥巣氏と参加者の皆様とインタラクティブな交流をし、活発な質疑応答も行われ大変盛況に終わりました。
今回のイベントの様子をジャンシン(匠新)インターン生の方思雯がレポートいたします。
【画像1】
まず、ワンドットの鳥巣氏はOnedot(万粒)の沿革及び事業について紹介し、育児メディア、ペット健康管理アプリ、中国デジタル戦略·マーケティング支援と、大きく三つの事業に分けて展開しています。
①育児メディア「Babily/贝贝粒」
育児メディア「Babily/贝贝粒」は、以前の育児メディアと少し違うコンセプトになっており、子育てママ向けにコンテンツやツールをウィーチャットのミニプログラムで提供しています。年間100万人の妊婦が新規登録をしており、妊娠期から産後までの体重管理、育児の知識、子供の成長記録などの便利なツールを組み合わせて提供しています。また、分かりやすい育児の知識をショート動画にして、【画像2】のように抖音(ドウイン)、小紅書(RED)などの様々なプラットフォームでコンテンツを配信しています。
【画像2】
②ペット健康管理アプリ「Pet Note/宠本本」
ペット健康管理アプリ「Pet Note/宠本本」は、中国の若い世代のニーズに合わせてウィーチャットのミニプログラムを中心としたプラットフォームを展開しています。ペットの健康記録、動物病院の予約、オンライン健康相談から病院紹介のような機能があり、既に10万以上のペットオーナーに利用され、ペットの健康記録を100万件以上達成しました。
③デジタル戦略·マーケティング支援事業
デジタル戦略·マーケティング支援事業は【画像3】のように、一つは新しいブランド·サービスの中国向けの立ち上げです。Onedot(万粒)が得意とするB2Cサービス、メディア、消費財ブランド以外に、中国のデジタル環境に順応するために、事業検証から垂直立ち上げまたJVや共同事業化のサポートもしております。
【画像3】
次に、鳥巣氏は中国消費者のトレンドを紹介しました。まず中国の育児市場について、出生数が下がっているものの、【画像4】のように複数の調査により、2020年の市場規模は概して3.5-4.0兆元(約55-60兆円)程度で市場全体は成長しています。近年、中国育児市場の特徴としては、高付加価値製品、新しい商品カテゴリー/サービスが伸びています。
【画像4】
育児市場に限らず、ペット市場でも中国消費者の嗜好や生活様式が更に多様化、細分化、小衆化(大衆の逆)になってきています。中国ペット市場は規模も成長性も大きく、ペットフードや診療、薬などのニーズをめぐり、都市の高学歴で経済力の高い女性飼い主を中心とした科学的な「育児」を強く望む世代になってきています。
続いて、中国デジタルマーケティングの動向について紹介しました。ユーザーが好むコンテンツを推薦するアルゴリズムの進化により、ユーザーの好みは一層細分化されているので、自社の提供コンテンツの特徴やテーマをより明確にするのが大事です。
また、【画像5】のように2017から2020年まで中国ライブコマース市場の規模が増加しています。ライブコマースの浸透により、ユーザーは観るだけではなくKOLから商品を買うようになっています。
【画像5】
SNSのアルコリズムの進化とライブコマース化により、オンラインでの顧客獲得競争が激しくなり、それに伴うコストも高くなってきています。場合によってはオフラインの方がCPA(顧客獲得単価)が安いこともあります。例えば、育児メディア「Babily/贝贝粒」は各都市の産婦人科で妊娠期の体重管理というニーズに合わせて、オフラインから利用開始しやすいミニプログラムで登録実現で妊婦ユーザーを獲得しています。
また、現在は総合プラットフォームに出店すればいい時代ではなくなりました。【画像6】のように販路開拓、事業設計、評判形成を並行して拡大し、段階的に拡大していくのは中国の事業立ち上げの大変な特徴です。
【画像6】
最後に、日本で日々生み出されているニッチ、高付加価値の製品·サービスは数多くあるので、多様化·細分化されている中国消費者のニーズに対応できます。ニッチであればこそ空中戦ではなく、個々の小規模チャネルを積み上げて投資合戦をしない戦い方で、設計と評判形成をしっかり足を使って稼ぐことが勝ち目かもしれないです。
インフルエンサー経済の行き先というと、中国だけではなく、遅れか早かれ世界中がこうなるような雰囲気もかなりしていて、その時のために、戦い方を身に付けておくべきではないかと巣氏は述べました。
ジャンシン(匠新)は今後も、毎月開催している「中国双創ナイト」をはじめとする各種イベントはZoom等を用いてオンライン開催にする予定です。参加も無料で、他ではなかなか聞けない中国の最新動向から、ビジネスにつながるイベントまで、豊富なコンテンツをご用意いたしますのでどうぞ気軽にご参加ください。
日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、ジャンシンが配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。
また「中国イノベーション通信」ではイベントの告知以外にも、中国のイノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を掲載させていただいております。購読を希望される方は弊社までお問い合わせください。
Email:info@takumi.ltd