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BLITZ SEMINAR

「中国テックジャイアント動向」 自然言語処理にVRコンサート 採掘業用OS、自動運転タクシーも

TECHBLITZへの寄稿文はこちらでご参照ください。

 

テンセント スマート作文アシスタントの公開トライアルを開始

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スマート作文アシスタント「文涌(Effidit)」 Image: Tencent

テンセントのAI(人工知能)研究開発組織「AI Lab」は2022年4月7日に、スマート作文アシスタント「文涌(Effidit)」の一般向け公開トライアルを開始しました。Effiditは、テンセントが蓄積してきたNLPの技術を結集し、ナレッジ抽出やテキスト理解、テキスト生成、大規模事前トレーニング済みモデル、言語モデル、検索などの技術を同時に実装しています。最初の公開トライアル版は、中国語と英語の2カ国語の入力に対応しており、パソコン(PC)端末にダウンロードすることで体験することができます。

 

Effiditの2つのコア機能とは

Effiditでコアとなる機能は2つあります。1つ目は、テキストの多次元補完機能です。Effiditは、作文するユーザーに異なる情報や異なる内容のテキスト補完機能を提供することができます。具体的には、短文の言い回し補完と検索式フレーズ補完、AI自動補完の3種類の方法があり、作文するユーザーの思考を刺激し、作文の効率を向上させられます。

短文の言い回し補完では、現在、一般的によく見られる予測変換以外に、カーソル位置の前後のテキストに基づいて適切な言い回しを提示することで、前後の文章をよりよく補完できます。また、検索式フレーズ補完とAI自動補完では、短文の言い回し補完と同時に、さまざまな角度から作文のためのヒントを提供するようになっています。

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短文の言い回し補完機能を使用する様子。左は前後の文章の補完、右は検索式のフレーズ補完とAI自動補完を実行している様子 Image: Tencent

2つ目は、多様な文章推敲(すいこう)機能だ。Effiditは、元の文章が伝えたい内容を正確に保ったまま、短文の言い回しの推敲やフレーズの書き換え、そして文章の拡張の3つの方法で多様な文章推敲サービスを提供し、ユーザーの文章表現の質を向上させる。Effiditの短文言い回し推敲サービスは、単純な同義語の入れ替えとは異なり、短文の上下の文章の情報を結合し、文脈に沿った推敲案を提供してくれる。また、長文のフレーズに対しては、同義語を書き換えた推敲案と、元のフレーズの表現をより豊かに拡張させた推敲案という2つの方式を提供する。そのうち、フレーズの拡張を行う過程では、ユーザーが選択した範囲内の文から自動で主要部分を判別し、主要部分の内容に対して修飾と拡張を行うことができる。

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文章推敲機能を使用する様子。左が中国語、右が英語での実行となっている。

Image: Tencent

 

ファーウェイ 採掘業用OS「鉱鴻」の実装を加速し安全性向上へ

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採掘業用OS(基本ソフト)「鉱鴻(クアンホン)」 Image: Huawei

ファーウェイは現在、中国の国有石炭大手「神華集団」と国有発電大手「国電集団」が合併した「国家能源投資集団(CHN ENERGY)」と連携し、2021年9月14日に発表した採掘業用OS(基本ソフト)「鉱鴻(クアンホン)」を実装して、成果を出しています。クアンホンは、神華集団傘下の石炭生産企業である神東煤炭集団の4つの炭鉱で既に実装が進んでおり、設備メーカー62社が提供する57種類、2072台の設備を、クアンホンに適応させています。

 

クアンホンの3つの特徴

クアンホンには、3つの特徴があります。1つ目は、ワンタッチ操作によりリモートで採掘ができることです。神東煤炭集団の大柳塔炭鉱に実装されており、掘削機の運転手がリモコンのレバーを操作し、ボタンを押すと、地面から垂直距離で130メートル、直線距離で7000メートルを隔てたところにある採掘現場に設置されたスマート掘削機の起動から速度制御などを、リモートで実施し、掘削作業を実行できます。実現される自動化率は最高で92%に達しているといいます。

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スマート掘削機の制御センターの様子 Image: Huawei

2つ目は、全ての設備をネットワークに接続でき、リアルタイムでモニタリングおよび制御ができることです。神東煤炭集団の上湾炭鉱に実装され、22年1月18日に、クアンホンを搭載した制御器が稼働を始めました。設備の運用状況の点検と管理に人手をかけていた時間が、これまでに比べて大幅に減少したといいます。

加えて、現場ではスマートフォン端末と設備の連係も可能にしています。大量のデータ転送を可能にする通信プロトコル「CAN(Controller Area Network)」を使用し、設備上のパラメーターを記憶する近距離無線通信規格「NFC」技術を通じて、スマートフォン端末を設備に近づけると設備のパラメーターを読み取ることができます。

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炭鉱現場におけるスマートフォンを活用した設備の運用状況の検査の様子

Image: Huawei

3つ目は、ロボットによる自動識別と自主点検を可能にしていることです。神東煤炭集団の哈拉溝(ハラコウ)炭鉱に実装され、クアンホンを搭載したレール移動式点検ロボットが稼働中です。このロボットによる自動点検では、ロボットが点検通路上の設備の種類を自動的に識別することができる。クアンホンのシステム上で設備の故障が発見された際、現場担当者が遠隔操作でロボットを向かわせて現場の状況を確認することもできます。これにより、点検員は時間をかけて現場を訪れなくても、スピーディーに故障の原因を究明し、対応に移ることができます。

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クアンホンを搭載したレール移動式点検ロボットが稼働している様子 Image: Huawei

エコシステム構築で炭鉱産業の発展を促進

ファーウェイと国家能源投資集団は、共同開発したクアンホンを、中国発の安全かつ信頼できて、相互接続性に優れた工業レベルのスマートなOSと位置づけます。今後は、データ規格のプロトコルを統一し、工業インターネットエコシステムを構築することで、採掘産業の高度な発展を促進させていく考えです。ファーウェイは、炭鉱現場において生まれるデータを結合し、共有し、スマート化させて現場で活用していきます。そうすることで、炭鉱現場におけるあらゆる設備を接続し、採掘業のスマート化における基礎を築いていくとしています。

 

バイドゥ 自動運転タクシーサービスを中国北京で正式展開へ

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北京市内の公道で自動運転タクシー(ロボタクシー)配車サービスプラットフォーム「蘿蔔快跑(ルオボークワイパオ)」を利用する様子 Image: Baidu

バイドゥは2022年4月28日、中国北京市政府から無人運転模範応用通知書を取得し、無人運転車配車サービスにおいて正式に認可を得たことを発表しました。バイドゥは、今回の認可取得により、最初は10台の自動運転タクシー(ロボタクシー)を投入してサービスを展開し、次のステップとして、30台の車両を追加する予定です。

バイドゥは、スマートカーの高度な性能、予備モニタリングシステムの配置・運用による二重化(多重化)した冗長性、そしてリモート運転システムの構築による問題発生時の運転代行の3つの安全保障性能を完備し、全面的に乗客の安全を保証している。その安全性の証左として、バイドゥの自動運転プラットフォームであるApollo(アポロ)は、ドイツの第三者認証機関であるテュフ・ノードから、車両のライフサイクル全体に対するサイバーセキュリティー管理規格である「ISO/SAE 21434」を取得しています。これは、アポロの自動運転や自動車のスマート化における関連業務、そしてスマートカーの全ライフサイクル工程が、同規格の要求を十分に満たし、ネットワークの安全性において業界内で十分に優れた能力を持つことを示しています。

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Apollo(アポロ)の自動運転車両の無人運転席の様子 Image: Baidu

 

没入式のモビリティー空間を提供

アポロは、自動運転の安全性と利便性を保証した上で、多様なシーンに対応した没入式のモビリティー空間を提供します。アポロのMinibus(ミニバス)は、より多様化した商業シーンを車内で展開するのみならず、サービスの質を豊かにしていくことで、スマート交通産業の発展を促進することを目指します。加えて、バイドゥのスマート音声アシスタントである「小度(シャオドゥ)」や音楽ストリーミング配信サービス「酷狗音楽(クーゴウミュージック)」と連係できるように開発した、全シーン対応スマート化小型バス搭載用音楽OS(基本ソフト)もあります。ミニバスは、既に多くの都市で実用化されており、園区(工業団地や開発地区などの指定のエリア)や観光地での運用で高い競争力を発揮しており、今後も新たなアイデアを考案していく考えです。

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「小度(シャオドゥ)」や「酷狗音楽(クーゴウミュージック)」と連携できるように開発した音楽OS(基本ソフト)「与你一起享受美好時光(直訳は、あなたと一緒にすてきな時間を楽しむ)」を搭載するアポロのMinibus(ミニバス) Image: Baidu

バイドゥは、9年間で累計2700万キロメートルにおよぶ自動運転によるテスト走行距離の蓄積に基づき、北京や上海、広州、そして深センなどの大都市で自社のロボタクシー配車サービスプラットフォーム「蘿蔔快跑(ルオボークワイパオ)」を実用化しました。ルオボークワイパオは現在、世界最大級の自動運転モビリティーサービスとなっています。ルオボークワイパオの乗車サービス提供回数は、21年第4四半期(21年9~12月)だけでも21万3000回に達しており、22年も依然としてこの数字は大きく増加する見込みです。

そして、アポロの自動運転バス「Robobus(ロボバス)」は、世界初の「レベル4」(特定条件下での完全自動運転が可能)の量産型自動運転シャトルバスで、既に広州や重慶で実用化され、運営が開始されています。その中で、ロボバスとミニバスを含む自動運転バスの累計走行距離は37万キロメートル以上となっている他、200以上の停留所をカバーし、26万人近くの市民に対して、効率的で信頼できる自動運転モビリティーサービスとなっています。

バイトダンス 8K画質のVRライブ中継コンサートを開催

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VR(仮想現実)ヘッドセットのユーザー向けコンテンツメニューで、VRコンサートが宣伝される様子

Image:Pico Technology

バイトダンスは2022年4月9日、一般向けVR(仮想現実)コンサートを開催しました。このコンサートは、バイトダンス傘下の企業向け技術サービスプラットフォーム「火山引擎(Volcano Engine、フォーシャンインチン)」、同じく傘下企業であるVRヘッドセットメーカー北京小鳥看看科技(ピコ・テクノロジー)との連携により実現しました。今回のVRコンサートは、これまでのオンラインライブ中継によるコンサートと異なり、ピコ・テクノロジーの最新のVRヘッドセット「Pico Neo3」を装着して鑑賞するもので、ユーザーに全く新しい鑑賞方式と視覚体験をもたらしています。画質は高精細の8Kで、180度展開できる立体的な視野を実現し、最前列の1等席のような近距離感といった新体験を提供している。これにより、現実世界のコンサートを鑑賞しているかのような没入感を得ることができます。

 

8KのVRコンサートを自宅で視聴可能に

8Kの高解像度でのVRコンサートを実現している点に着目したいです。8KのVRコンサートを実現するには、まず8Kのカメラ映像をVR映像へ加工することが必要で、それには膨大なデータ通信という負荷が存在します。例えば、8Kの全景を移した動画データは、ハイビジョン映像画質の「1080p」と比較し、送信データ量が16倍にもなり、家庭用Wi-Fiの限界を大きく超えてしまい、そもそも視聴できません。

そこで、バイトダンスのフォーシャンインチンは、自社のクラウド技術と複数のアルゴリズムを応用することで、データ転送レートを20Mbps以下に圧縮することに成功しています。これにより、家庭用のWi-Fiの限界という課題を解決し、ユーザーが最初から最後まで8KのVRコンサートをスムーズに楽しめるようになりました。

フォーシャンインチンは他にも技術的なイノベーションを生み出しています。8Kカメラ映像のクラウドへの接続やクラウド上の中継ツールの提供、また8Kの中継映像の切り替え、そして動画の空間情報識別や空間特殊効果の合成などを実現しており、これらの技術がVRコンサートの実現を支えています。

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2022年4月9日に開催されたVRコンサートのリハーサルの様子 Image: PicoTechnology

 

メタバース空間でのコンサートも開催

今回のVRコンサート以外にも、ピコ・テクノロジーは2022年4月23日、TikTokの中国国内版「抖音(Douyin)」と連携し、中国でメタバース空間構築を手がけるスタートアップ「潮漫網絡」が運営するバーチャルシティー「KOOOLA」上で、初のバーチャルコンサートの生放送を開催、話題を呼んでいます。このコンサートでは、中国のラッパー「丁震(ディン・ジェン、英語名称ではKnowKnow)」がアバターになって、KOOOLAの中で異なるシーンを自由に行き来して歌います。また、聴衆もアバターになってコンサート会場に入り、鑑賞できます。

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丁震のバーチャルコンサートの宣伝ポスター Image: Pico Technology

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KOOOLA上で開催された中国の若手ラッパー、丁震のバーチャルコンサートの様子 Image: KOOOLA

このように、バイトダンスはさまざまな新しいエンターテインメント事業に取り組んでおり、着実にメタバース事業を強化しているとも見られます。バイトダンスは中国国内の有力メタバース企業の1社であり、今後もイノベーションを通じた新たな取り組みを推し進めると見られます。