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中国双創ナイト「第四次産業革命 中国工業インターネット」

2020年12月23日(水) に中国双創ナイトをzoomによるオンラインでのウェビナー形式で開催しました。第25回目となる今回は、「第四次産業革命 中国工業インターネット」というテーマです。工業用ウェアラブルコンピュータを開発した瑞欧威尔(Real Wear)社の肖亦宁氏を招き、5G工業用インターネットの発展状況、さらには海外と中国でのAR技術の応用の相違点、今後の発展や展望についてお話いただきました。また、弊社創新加速事業部アソシエイトディレクターの厳開からも中国工業インターネットの背景や最新の状況を解説し、その強みと課題、実際の応用事例等についてもお話させていただきました。

以下では匠新インターン生の三浦慎之介が当日のイベントについて報告させていただきます。

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【画像1】イベント中の登壇者の様子 

冒頭で弊社アナリストの朱から注目すべきスタートアップを紹介させていただいた後、弊社アソシエイトディレクターである厳から「中国製造2025」政策と工業インターネットについて講演をさせていただきました。

まず、厳によると「中国製造2025」とは中国政府が2015年に発表した今後の中国における製造業発展のロードマップです。2025年までに中国は現在の製造大国から製造強国への転身を遂げ、その後は10年スパンで世界の製造強国に追い付き、現在の中国建国100年となる2049年までに製造強国のトップに立つことを目指しています。 

ここでいう製造大国と製造強国ですが、以下のような意味を持ちます。 

製造大国:製造業の規模が判断基準となり、2010年に中国が世界のトップになって以来現在グローバル市場の約3割を占めている状態。

製造強国:製造業の規模のみではなく、製造過程における高付加価値創出も目指し、ハイテク部品と機械の製造能力を持つ状態。 

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【画像2】各製造強国の戦略と中国製造業の現状

中国が「中国製造2025」を発表した2015年当時は各産業強国は産業のアップグレード、第四次産業革命を目指して様々な戦略を発表していました。

そのような状況下で中国の製造業は先端技術を持たず、重要度のあまり高くない部品の製造や労働集約型サービス、完成品の組み立てがメインとなっていました。

中国は発展とともに人件費と原料コストが高騰し、低コストと規模の大きさを活かした従来の役割を東南アジア諸国に代わられつつあったため、高付加価値創出による産業のアップグレードの実現が課題となったとのことです。

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【画像3】中国製造2025の戦略

2015年に「中国製造2025」が発表された当時は工業インターネットという言葉は使われておらず、メイン戦略として「インターネット+」「情報化と工業化の融合」「スマート製造」が挙げられているだけでした。一方で2017年頃からこれらの戦略をまとめた「工業インターネット」が鍵として用いられるようになりました。

これまで蒸気機関を用いた工業1.0から、電力を活用した工業2.0、IT技術を用いた工業3.0、そしてIoTやクラウド、5G、ビッグデータ、AIなどの最先端技術を用いたスマート化による工業4.0を進めるにあたり、工業インターネットが鍵になります。

厳によると、激しく変化する需要に柔軟に対応することと単純作業に割く人件費を削減することが求められていることが背景にあるとのことでした。

2020年現在、中国は工業インターネットに対して多額の投資を行っており、以下のようになっています。

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【画像4】中国工業インターネットの主な成果 

ちなみに「4.産業エコシステムの発展」の京津翼は北京や天津のエリア、長三角は上海や浙江省のエリア、そして粤港澳は深センや広州、香港のエリアを指しています。

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【画像5】中国のAI分野の現状

そして、工業インターネットの発展において中核となるAI分野での投資総額、企業数共に世界第2位を誇っており、AI分野においても5〜10年単位での計画に沿って発展が続けられています。

また、アリババのECなどに見られるインターネット上の市場の拡大によってクラウドの市場規模は2019年時点で約21.3兆円、2023年までに60兆円まで成長する見込みで、こちらも米国に次いで世界第2位となっています。

まとめると、工業インターネットにおける中国の強みは以下のようになります。

・工業インターネットの成長に重要な分野のほとんどで中国が世界第2位を誇り、今後も継続して早い成長が見込まれる

・中国は国策として「デジタル中国」を掲げ、今までの工業と異なり工業インターネットにおいては他国をリードする位置にいる

・中国国内におけるイノベーションの取り組みは、「まず行動し、問題が発生次第、政策を作り解決する」ことであり、スピードを備えている

その反面、厳によると以下の課題もあるとのこと。

・工業ソフトの市場占有率は欧米の企業に劣っている

・投資額が高く短期間での収益も望めないため、工業設備のネット接続率が依然として低い

・クラウドを用いたデータの採取、蓄積と分析を行う設備が20%程度となっている

AIやクラウドを用いたサービスが活発でポテンシャルを秘めている一方で、政府が力を入れ、他国をリードしている工業インターネットが一部の企業でしか実施されていないという課題があることがわかりました。

続いて、瑞欧威尔(Real Wear)社の肖亦宁氏を招き、インダストリー4.0関連技術である産業用メガネについて、マクロ的な視点から今後の発展や展望についてお話いただきました。

まず、肖氏によるとARとはスマートフォンに続く次世代モバイルコンピューティングのプラットフォームで、現実とデジタル情報を融合し、情報の取得と意思決定の効率を向上させることができるようです。この関連技術としてはAIやIoT、5G、ビッグデータ、クラウドコンピューティングが挙げられます。

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【画像6】AR技術の市場規模

さらにAR技術の市場は2020年現在の61億ドルから2025年には343億ドルに達する見込みで、消費市場と企業サービス市場のうち特に後者の成長が著しいようです。

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【画像7】工業インターネットにおけるARの活用

工業インターネット分野におけるARの活用には大きく4段階が存在し、その応用分野は化学品、エネルギー、製造業から医療まで多岐に渡ります。

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【画像8】中国における産業分野でのARの活用

ARの活用は産業のトランスフォーメーションいち早く進めた欧米諸国がリードしている現状です。しかし、スマートフォンが開発されてから爆発的に普及するまでにも4〜5年を費やしており、中国を含む世界全体で今後も伸びていく見込みがあるそうです。

肖氏によると、実際にrealwearの産業用コンピュータを導入した企業では生産性の向上と業務の改善を実現しています。

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【画像9】各業界での効果報告ROI

realwearの産業用コンピュータはハンズフリーで使用が可能で、本部と視野を共有することでスムーズな問題報告やそれに対する指示を受けることが可能になります。

作業内容の録画も可能なので、新人の教育にも大いに役立ちます。

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【画像10】フォルクスワーゲンの工場でrealwearの製品が導入されている様子

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【画像11】コカコーラの倉庫でrealwearの製品が導入されいる様子

このようにrealwearの産業用コンピュータは既に世界的な大企業での導入例もあり、今後も多くの企業にソリューションの提供が見込めそうです。

同社は

10月に開催された弊社イベント「Venture with Japan」にも登壇されており、その際のブログで同社の紹介も記載しておりますのでよろしければそちらもご覧ください。

お二人の登壇後のQ&Aセッションでは、北京のオフライン会場での参加者からも多くの質問が寄せられ、オンラインでの視聴者と情報を共有しながらインタラクティブな交流ができました。

講演の時間に限りがあったため、技術に関する質問も多くありましたが、来月予定されている中国双創ナイト「中国工業インターネット 実践編」でより具体的な事例を取り上げる予定ですので是非お申し込みください。

ジャンシンは今後も、毎月開催している「中国双創ナイト」をはじめとする各種イベントはZoom等を用いてオンライン開催にする予定です。参加も無料で、他では聞けない中国の最新動向から、ビジネスにつながるイベントまで、豊富なコンテンツをご用意いたしますのでどうぞ気軽にご参加ください。

日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、ジャンシンが配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。

HP:http://www.takumi.ltd/blog

Facebook:https://www.facebook.com/f.takumi.ltd

また「中国イノベーション通信」ではイベントの告知以外にも、中国のイノベーションに関する最新ニュース、コラム、イベントなどの情報を掲載させていただいております。購読を希望される方は弊社までお問い合わせください。

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