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ウェビナー開催報告「中国EV·モビリティの現状と日中イノベーション共創~3年ぶりの中国渡航で感じた中国EV·モビリティの発展と変化」

2023年5月19日(金)にジャンシン(匠新)主催、SPEEDA共催のウェビナー「中国EV·モビリティの現状と日中イノベーション共創~3年ぶりの中国渡航で感じた中国EV·モビリティの発展と変化」を開催しました。

本ウェビナーでは、SPEEDA中国の楊潔氏と三井住友海上火災保険㈱の竹内浩気氏をお招きし、中国EV·モビリティの現状、GDH(Global Digital Hub)上海の組織概要、そしてEV関連の取組状況についてご解説いただきました。また、ジャンシン(匠新)CEOの田中より、日中イノベーション共創事例を紹介致しました。そして最後のパネルトークではジャンシン(匠新)CEOの田中がモデレーターを務め、三井住友海上火災保険㈱の本山智之氏と自動車·環境ジャーナリスト川端由美氏と中国EV・モビリティの発展と変化について交流しました。

本ブログではジャンシン(匠新)インターン生の林嘉輝が当日のイベントについて報告させて頂きます。

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まずSPEEDA中国の楊潔氏はいくつかのデータをもとに、2022年中国のEV市場の現状をめぐって業界の最新動向を川上、川中、川下3つに分けて解説しました。

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【画像1】

川上の車載動力電池量について楊氏は、「2022年の搭載総量は前年比の約50%増を達成し、年間グローバル企業別シェアランキングでは、CATL(寧徳時代)やBYD(比亜迪)をはじめとした中国企業の上位10社が全体シェアの95%にも達した」と述べました(画像1)。そして、「中国の動力電池の産業競争力はこれからもしばらく揺るぎないであろう」と楊氏は予測しました。

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【画像2】

続いて、川中の販売について楊氏は「2022年の新エネルギー車総販売台数は前年比93.4%増の688万台で過去最高を記録した。その中でも注目すべきポイントは、政府の政策が追い風となり、燃料電池商用車の販売台数が2年連続で大きく増加した」と述べました(画像2)。さらに、「ここ数年、中国新エネ車の輸出台数も急増していたが、一方で運送船不足や用船料急騰というような新たな問題も発生した」と指摘しました。また、「今後中国の経済回復が後押しているほか、コロナ対策が緩和することから、新エネ車市場は新たな成長段階を迎える」と楊氏は予測しました。

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【画像3】

最後に川下の充電スタンドについて楊氏は「2022年の充電スタンド数は持続的に増加していたが、2022年の中国のEV台数と充電スタンド数の比率は7:1であり、目標とする1:1の実現にはまだ遠い。EVが予想を超えるほど普及したのに対し、充電スタンドの建設が間に合っていないのが現状である」と表明しました。(画像3)また、インフラの数量は消費者のその地域のEV普及率が深くつながっていると楊氏は結論付けました。

 

 

次に、三井住友海上火災保険㈱の竹内浩気氏はGDH上海の取組について紹介し、組織概要とEV関連の取組という二つの部分に分けて展開しました。

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【画像4】

「株式会社三井住友海上火災保険は、『オープンイノベーションによりリスクソリューションのプラットフォーマーとして、安心・安全な社会を実現していきたい』をビジョンとしており、世界各地のイノベーション都市に『グローバルデジタルハブ(GDH)』を設立している」と竹内氏は紹介しました(画像4)。そして、「各拠点は異なる役割を担い、2022年成立したGDH上海は社会実装されたイノベーションに関する保険や補障の取り組みがメインである」と述べました。

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【画像5】

竹内氏は「現在、中国のEV市場規模が益々大きくなりつつあり、それと伴い企業にとって新しいチャンスや新事業が出てきた。そのため、GDH上海は三井住友海上火災保険の提供したリスクソリューションをEV業界に応用して、新たな保険商品を開発している。また、中国のパートナーと連携して、中国ならではのイノベーティブな保険や電池の異常モニタリングなどのサービスを提供し、従来の保険サービスと新技術を融合させて、新しいサービスモデルと価値を創造することを目指している」と述べました(画像5)。

 

 

続いて、ジャンシン(匠新)創業者・CEOの田中年一は日中イノベーション共創事例について紹介しました。

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【画像6】

田中氏は「現在中国の競争優位性の高い領域は主にAIやハードウェア、自動車交通、インターネット・ソフトウェア4つの領域にある」と説明しました。その後、田中氏は、3つの分野(モビリティ、科学、服装)における日本企業と中国スタートアップとのオープンイノベーションの取り組み事例紹介し、「日中イノベーション共創を通じてそれぞれの強みを生かし、お互いにより一層の発展が実現できる」と強調しました(画像6)。

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【画像7】

その後、田中氏は最近大注目を浴びている上海モーターショーについて簡単に説明しました。ここ数年、中国自動車市場ではBEVを中心とした中国本土ブランドの成長が目覚ましく、一方でICE(ガソリン燃料自動車)を中心とした日本ブランドはどんどん苦しくなってきているという現状も述べました(画像7)。

 

 

最後のセッションでは、三井住友海上火災保険㈱の本山智之氏と自動車·環境ジャーナリスト川端由美氏は、「中国EVメーカー」「電池交換・移動充電サービス」「自動運転タクシー」「日本と中国との比較」といった4つのテーマをめぐってパネルトークを実施しました。

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パネルトーク中の様子

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中国EVメーカー NIO

川端氏は、「NIOはテスラのようにアメリカ的なデータビジネスに重点を置くのではなく、車を購入する人々のコミュニティーに重点を置いて業務を展開している。一方で、NIOの車は単なる自動車にとどまらず、生活の一部として取り入れられており、NIOが提供するサービスと車自体が、保険や他のビジネスを進化させ、新しいビジネスを生み出している」と述べました。

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電池交換サービス Aulton

そして電池交換・移動充電サービスについて川端氏は、「中国のEV市場が拡大するにつれ、EVの拡大による問題が浮き彫りになってくることを理由に、電池交換や移動充電サービスなどの新しいビジネスが生まれると感じた。多数のOEMが参加する標準化されたビジネスモデルやニッチな充電ビジネスモデルが登場していることに驚いている」と感想を述べました。 

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自動運転タクシー pony.ai

続いて自動運転タクシーについて、本山氏は、「pony.aiのような自動運転車が田舎の幹線道路のような場所での走行をイメージしていたが、歩行者や自転車やバイク等も多数いる大都市の環境で走行していることには本当に驚いた」と述べました。

最後に本山氏は、「ここ数年、中国のEVやモビリティの発展に本当に驚かされており、それは中国のデータ・情報管理の在り方によるところも大きいと考えている。一方で、中国と比べて日本でEVの普及はまだ初期段階と認識している」と述べ、また「社会全体と個人のプライバシーとのバランスや、社会の便益のためのデータの使い方など、日本は中国から学ぶべき点があるのではないか」と述べました。

川端氏は、「現在日本では、個人情報やプライバシーに対して非常に慎重に取り扱われている。しかし、電動化の流れが進む現在、このやり方を見直す必要性がますます高くなってきている」と述べ、「このような点に関して、日本は中国から学ぶべきことが多いと考えているが、日本と中国はそれぞれ異なる文化や社会制度を持っているため、中国のやり方をそのままコピーするのではなく日本ならではのやり方を見出していく必要がある」とも強調しました。

 

 

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