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毎週お届け 注目中国スタートアップ企業|2023年11月号

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哪吒汽車(NETA)

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【会社概要】

哪吒汽車(NETA)は14年10月設立の中国スタートアップ企業で、スマート電気自動車(EV)の研究開発から、生産製造、そしてオムニチャネル販売までを手掛けている。同社は23年8月30日にシリーズPre-IPO(クロスオーバー)で70億元(約1449億円)の資金調達に成功した。

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哪吒汽車の完成車製品4000台が中国国外に向けて海上輸送される前の様子
(画像は哪吒汽車のニュースリリースから)

今回の投資家は、現時点で未公開となっている。哪吒汽車が実施したシリーズPre-IPOの資金調達は一般的に、企業のIPOを加速するための株式投資であることが多いとされている。同社は23年8月時点で、中国国内の販売台数などの面においてトップクラスにある新興EVメーカーの中でも、未上場企業の一つだ。

一方で、哪吒汽車は22年11月、技術戦略「浩智戦略2025」を発表。直近の23年8月には、その最新版「浩智戦略2.0」を新たに公開している。今回の資金調達がIPOの準備のためかはともかく、同社は今後、その戦略に沿う形で研究開発に力を入れ、製品の競争力をさらに高めていくことが見込まれる。

中科富海が提供する高純度ヘリウムガスは、航空宇宙、医療、エレクトロニクス、半導体、光ファイバー製造などの高度な分野で広く利用され、業界内外から高く評価されている。近年は、国内外のヘリウム回収プロジェクトに参画し、ロシア、中東、北アフリカなどのヘリウム資源地とも連携。中国国内でも四川省成都市や天津市などに気体液化拠点を設置し、各地域の液体ヘリウムやガスに対するニーズに応えている。

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哪吒汽車のCTO(最高技術責任者)である戴大力(ダイ・ダーリー)氏が、
22年11月に同社の技術戦略「浩智戦略2025」を発表する様子
(画像は哪吒汽車のニュースリリースから)

【プロダクト】

哪吒汽車は近年、21年末に打ち出した完全自主研究開発型のスマート安全自動車プラットフォーム「山海平台(シャンハイプラットフォーム)」や自社で研究開発したEVバッテリー「天工電池(ティエンゴンバッテリー)」などを含め、同社の技術体系の全面的な進化を支える強固な基盤を築いている。浩智戦略2.0には、スーパーコンピューティングプラットフォームやEVスケートボードシャーシ、電気駆動システム、EVの航続距離延長装置(レンジエクステンダー)、熱管理システムなど5つの分野における新技術および新製品が含まれる。

哪吒汽車は、そのスケートボードシャーシプラットフォームなどのコア技術の進化を加速するため、10億元(約207億円)以上を投資して中国国内に建設したスマート工場を、23年9月に稼働し始める。このスマート工場は、22年11月に新たに設立された子会社「浩智科技」の管理の下、スマートドメイン制御システムや電気駆動システム、電子制御システム、レンジエクステンダーシステム、そしてヒートポンプシステムなどの多数の部品を生産していく。

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「浩智戦略2.0」にて新たに公開されたスケートボードシャーシプラットフォームの紹介とその製品
(画像は哪吒汽車のニュースリリースから)

注目したいのは、東南アジアにまず根を張り、次いで欧州を開拓するという哪吒汽車の海外進出戦略だ。同社は現在、タイに子会社を設立し、同時に欧州に事業部を配置。東南アジアの基盤を中心として、南米、中東市場への進出を進めており、代表的な中国の新興EVメーカーの中でも独自の海外展開を行っている。

哪吒汽車は23年3月、海外進出戦略の第一歩となったタイで、海外初の自社生産拠点であると同時に、中国新興EVメーカーで初めてエコロジースマート工場の基礎工事を正式に開始した。同社は、建設完了後の生産能力が年間2万台となるこの工場を、右ハンドルEVの生産と東南アジアへの輸出のための主要基盤としていく。

加えて、哪吒汽車は右ハンドル車の輸出を中国のEVメーカーとして初めて実現した先駆け的存在となっているほか、タイとマレーシアにおいて初めて新車販売・納車を実現した中国新興EVメーカーでもある。23年6月8日に、ヨルダンで販売を開始した同社の代表車種「哪吒U」と「哪吒V」は、22年に海外で発売した後、大きな人気を誇っている車種だ。

そのうち哪吒Vは、タイの「最優秀リヤゲート式EV」として選出されており、タイの23年1~4月のEV登録台数では2位を記録した。23年8月10日には、「2023インドネシア国際自動車展(GIIAS)」に出展。哪吒汽車は、タイ、マレーシア、ミャンマー、ブルネイなどの国への進出を経て、東南アジア最大の人口とGDPを誇るインドネシア市場にも上陸したことになる。

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「2023インドネシア国際自動車展(GIIAS)」に出展する様子(上2枚)と
ヨルダンで開催したイベントの様子(下2枚)
(画像は哪吒汽車のニュースリリースから)

 

智譜AI(Zhipu AI)

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【会社概要】

智譜AI(Zhipu AI)は、19年6月設立の中国スタートアップ企業で、認知機能を搭載した大規模AIモデルの開発とそのプラットフォーム構築に注力している。同社は23年9月20日にシリーズB+で数億ドル(数百億円)の資金調達に成功した。なお、同社は23年のみで、既に3度にわたって累計25億元(約512億5000万円)超の投資を得ている。

今回の投資には、中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)傘下の投資部門「騰訊投資」と中国EC(電子商取引)最大手であるアリババ集団のクラウドサービス「阿里雲(アリクラウド)」が参加している。同社は今回の資金調達を受けて、引き続き、大規模AIモデルのさらなる開発と同社の大規模AIモデルを活用した業界エコシステムの発展を進め、連携パートナーとの取り組みを加速していく。

 

【プロダクト】

智譜AIは、清華大学コンピューターサイエンス・テクノロジー学科が発表する技術成果を転用した企業で、認知知能を搭載した汎用AIモデルの構築を目指す。同社は、中国語と英語の2言語に対応した1000億パラメーター規模の超大型プレトレーニングモデル「GLM-130B」を研究開発中。同時に、高精度な汎用ナレッジマップを構築し、データと知識の両方を駆動力とする認知エンジンを形成。これらのモデルとエンジンを基盤として同社が開発したのが、1000億パラメーター規模の大規模AIモデル「ChatGLM」だ。

智譜AIは23年6月、ChatGLMを第2世代にアップグレードし、「ChatGLM2」として、性能を大幅に向上させた。基盤となるモデルである「GLM-130B」の能力向上に伴い、ChatGLMはより高度なパフォーマンスを発揮できるようになっている。マルチターンダイアローグの生成能力(対話の文脈を理解し、複数の相互に関係する質問や発言に対して、適切な返答を行う能力)では、知識を有し記憶することができるAIアシスタントとして、対応可能なコンテキストの長さは2000文字から3万2000文字まで増加した。

ChatGLMは、科学、技術、歴史、文化、芸術、ビジネスなどの垂直領域にわたる豊富な知識を蓄積しており、人とAIの対話体験をより違和感とストレスのないものにしようとしている。

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智譜AI(Zhipu AI)のWebサイトトップページ(画像は智譜AIのHPから)

注目したいのは、智譜AIが23年8月31日に発表した生成式AIアシスタント「智譜清言(ChatGLM.cn)」だ。智譜清言はChatGLM2を基盤とし、事前学習、微調整、強化学習の各段階で最適化を重ねている。ChatGLM2の強力な言語理解能力により、テキスト間の論理関係をより深く理解し、非構造化データ(文章などの集計しにくいデータ)から必要な構造化データ(カテゴリー分類や数字などの集計しやすいデータ)を抽出することが可能。これにより、質の高いオリジナルコンテンツを絶え間なく生成できるようになっている。こうして、コピーライティングの専門性と精度向上に役に立つほか、ユーザーの自由な創作空間を拡大し、ライティングシーンでの質と効率の向上を支援している。

智譜清言は、ライティング初心者に対して、SNSの文案から動画の脚本の作成まで、個性的な文のアイデアを提供。専門性のあるライターには創作に必要となる補足情報を効率的に生成し提供することができる。また、100以上のプログラミング言語をサポートするコード生成能力も持ち、プログラマーの作業も強力に支援可能だ。

さらに、ユーザーの利便性強化のため、モジュール「インスピレーション大全」を搭載。300以上のシーンを対象としたテンプレートを収録し、ライティング、ビジネス、クリエイティブ制作、バーチャル対話、コーディングなどの領域をカバーしている。これらのテンプレートは、新規ユーザーがすぐに活用できるように設計されている上、テンプレートは編集可能で、個別のニーズにも対応できる。

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智譜AIが23年8月31日に発表した生成式AIアシスタント「智譜清言」のトップページ。
右側には、モジュール「インスピレーション大全」が用意されている
(画像は智譜清言の製品インターフェースから)

その他に、ユーザーの使用に伴うハードルを下げる機能「Improve」も搭載する。この機能は、ユーザーが完了を必要とするタスクを入力するだけで、入力内容から意図を理解し、最適なテンプレートを提案。プロンプト(AIに出す指示文)不要で手軽に利用できるなど、誰でも等しくAIを活用できることを目指したものとなっている。

 

藍旭科技(Solar-LIT)

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【会社概要】

藍旭科技(Solar-LIT)は、17年3月に設立された中国スタートアップ企業で、主に太陽光発電パネルを対象にしたスマート清掃ロボットの研究開発に注力している。同社は23年9月8日にシリーズAで数千万元(数億円)の資金調達に成功した。

今回の投資には、新エネルギーおよび電子半導体に焦点を当てて投資を行うVC「朝希資本(SparkEdge Capital)」、新エネルギーや新素材の新興産業に焦点を当てて投資を行う総合ファンド「申万火炬基金(シェンワンフオジュファンド)」、国有企業である中国航空発動機集団(Aero EngineCorporation of China)、国家級の科学研究機関である中国科学院海西研究院(Fujian Institute of Research on the Structure ofMatter、Chinese Academyof Sciences)などにより共同で設立されたファンド「厦門創新資本(シャーメンチュワンシンズーベン)」が参加している。藍旭科技は今後、発電所のメンテナンス製品を対象に、デジタル化オペレーション&メンテナンスのスマートシステムのアップグレードに力を入れ、より高品質な製品とサービスを顧客に提供していく。

 

【プロダクト】

藍旭科技は、太陽光発電関連企業や機関向けにスマートオペレーション&メンテナンスロボットから、その管理に関わるソフトウエアとサービス、そして太陽光発電所のメンテナンスまでを1つにしたトータルメンテナンスソリューションを提供している。製品には、スマート清掃ロボットおよび同ロボットの位置変更を補助する機器、そしてスマートメンテナンスシステムがあり、埃(ほこり)や鳥の排せつ物などを簡単に清掃することができる。

藍旭科技の製品は、地上発電所や水上発電所、屋上発電所などの様々な環境で応用でき、水なし洗浄にも対応。洗浄率と信頼性が高い、人の手による介入が不要な清掃を実現している。

また、藍旭科技はEU(欧州連合)の販売認証であるCE認証を取得しているほか、保護等級IP65の防水防塵(じん)性能を備え、そして抗UV(抗紫外線)認証を取得し、市場で中信博(Arctech)など世界トップ10の追尾式架台(部品を固定する際に使う金具)を製造する企業による架台適合性テストにも合格済みという。

こうした藍旭科技の製品を使用することにより、太陽光発電パネル表面の洗浄率は99.5%以上を達成可能。また、発電所の環境により、発電量は5~35%まで高めることができ、太陽光発電所の年間換算収益は約8%増加できるという。

藍旭科技は、設立以来、10GW(ギガワット)レベルの太陽光発電所の顧客に清掃ロボットを配置してきた。最大の単一プロジェクト規模は1.6GWを超えている。同社の製品は現在までに、水上太陽光発電所、屋上太陽光発電所、そして地上太陽光発電所において、導入実績を持つ。主な顧客は中国のみならず、中東やインド、メキシコなど、世界15以上の国と地域に分布している。

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藍旭科技のスマート清掃ロボット応用シーンの様子。
左から右の順に、水上太陽光発電所、屋上太陽光発電所、
地上太陽光発電所で実用化されたシーンとなっている
(画像は藍旭科技のHPから)

直近では、藍旭科技は中国エネルギー大手「中国能源建設(CEEC)」傘下の「山西省電力勘測設計院(SXED)」との連携の下、オマーンで推進されている太陽光発電プロジェクト「ManahⅡ」に全自動清掃ロボットソリューションを提供している。

同プロジェクトは、オマーン政府が掲げる「2040ビジョン」の一環で、新エネルギーの設備配置率を20%まで、再生可能エネルギーの発電率を40%まで高めることを目標としている。同社の製品は自動的に太陽光発電パネルの清掃およびメンテナンスを行い、太陽光発電の効率を高め、コストを下げることができる。同プロジェクトをスタートし太陽光エネルギーの生産を始めた場合、毎年約34万トンの温暖化ガスの削減が見込まれるという。

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オマーンで推進されている太陽光発電プロジェクト「ManahⅡ」の様子
(画像は山西省電力勘測設計院のニュースリリースから)

 

注目したいのは、藍旭科技のコア製品である全自動水なし清掃ロボットおよびポータブル清掃ロボットだ。

全自動水なし清掃ロボットには「LRシリーズ」と「LXシリーズ」の2種類があり、事前に設計されたルートに従って自主的に移動し清掃することができる。洗浄度は99.5%に達しているほか、ロボット全体の保護レベルはIP65を満たしている。そのうち、LRシリーズは障害物を横断する能力が高く、自動的に自分の位置を修正することができる。一方、LXシリーズは空間をまたがる能力が強く、接続用の設備は不要だ。これらの製品は、各種フレーム付き追尾式架台に適しているという。

一方で、ポータブル清掃ロボット「LPシリーズ」は、CMレベル(センチメートル単位の位置決め精度)までの正確なナビゲーションおよびリアルタイムの位置測定、リモートでの制御、そして自動充電が可能だ。また、自主経路計画および深層学習(ディープラーニング)を兼ねて、自主的に移動して清掃することができる。1分間に10枚の太陽光発電パネルを清掃可能で、分散型太陽光発電に適している。

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藍旭科技のLRシリーズ、LXシリーズの全自動清掃ロボット(左から1つ目と2つ目)および
LPシリーズのポータブル清掃ロボット(右から1つ目)
(画像は藍旭科技のWebサイトから)

史記生物(SciGene)

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【会社概要】

史記生物(SciGene)は19年12月設立の中国スタートアップ企業で、種豚(肉豚を生産するために飼養されている豚)の育種技術の研究開発を行っている。同社は23年9月27日に戦略投資で4億元(約82億円)の資金調達に成功した。

今回の投資には、1995年当時初の中国国内および国外の合資投資銀行として誕生した中国国際金融(CICC)傘下のPE(プライベートエクイティ=未公開株)マザーファンド「中金資本(CICC Capital)」、安徽省の国有系キャピタルマネジメント企業「安徽国控(AnhuiState-owend Capital)」、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)サービス提供企業「宸睿資本(FirmawiseCapital)」が参加している。同社は今回の資金調達を受けて、官民一体となった中国の食料自給率向上と農業の発展を推進していく。

 

【プロダクト】

史記生物は、全ゲノム選抜技術やゲノム編集技術、生物安全・環境技術、ビッグデータ育種技術などの手法を組み合わせ、GGP(曽祖父世代)、GP(祖父世代)、PS(父母世代)の種豚を独自に育種している。その種豚には、国際的な主流品種であるヨークシャーやランドレース、デュロック、そしてピエトレンなどに加え、脂肪分が通常品種よりも多く、肉質改善と成長速度の向上が可能な同社独自品種「史記-EB5」も有している。

史記生物は、同社設立前の2013年からフランスの動物遺伝子研究開発ソリューション企業であるChoice Geneticsと共同育種を開始し、同社の中核的な種群の育種能力を徐々に確立してきた。この10年以上にわたる研究開発の蓄積により、連続した明瞭な種豚遺伝子データベースを有している。

Choice Geneticsによる世界の種豚育種の内部評価では、同社は測定量が最大級で、データの品質が最高水準、そして世代間の偏差が最も小さいとされており、その評価の高さはその他同業の多国籍企業を追い抜く勢いとなっている。加えて、中国国内で唯一、CT(コンピューター断層撮影)測定技術による種豚の育種選抜の精度を大きく向上させることにも成功している。

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23年5月18日から20日にかけて四川省成都市で開催された第20回蓄牧博覧会に史記生物が出展した様子
(画像は史記生物のニュースリリースから)

注目したいのは、史記生物の種豚は、年間母豚当たり離乳子豚数(PSY)、飼料効率、生存率、そして150日齢時における体重といった種豚の性能を示す指標が、業界トップクラスを誇っていることだ。同社は、種豚の生産性および品質の面から、養豚業者に大きな経済的価値を提供すると同時に、種豚1頭当たり100元以上(約2050円)の養豚コストの削減に貢献している。これまでに、温氏食品集団(WENS)や新希望六和(NEW HOPE LIUHE)、そして大北農科技集団(DBN)などの国内トップ養豚企業や飼料メーカーを顧客としてきた。

加えて、その優れた育種能力が中国政府関連機関によって認められ、22年8月には中国の国家級育種企業として選出されている。これらの点から、史記生物は、国際競争力の高い育種開発を通じて、中国の食料安定供給に大きく貢献する存在として、その発展が期待されていることが見て取れる。

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史記生物と連携する養豚場の分布図(画像は史記生物のニュースリリースから)
 

 

当紅斉天(Sky Limit Entertainment)

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【会社概要】

当紅斉天(Sky Limit Entertainment)は、08年2月設立の中国スタートアップ企業で、VR(仮想現実)&AR(拡張現実)技術を使ったオフライン社交エンターテインメント体験サービスを提供している。同社は23年9月30日にシリーズCで数億元(数十億円)の資金調達に成功した。

今回の投資には、中国トップクラスの大学教育機関「清華大学(TsinghuaUniversity)」傘下の専門PE投資プラットフォーム「華控基金(TsinghuaHoldings Capital)」や中国インターネット大手「網易(NetEase)」、そして消費財やスマートテック、そしてエンターテインメントに特化して投資を行うVC(ベンチャーキャピタル)「野草創投(Weed Ventures)」などが参加している。

【プロダクト】

当紅斉天は今回の資金調達を受けて、今回の投資企業と共同で、VRやARなどのXR(クロスリアリティー)およびAI(人工知能)などのメタバース関連技術やその製品、それらを活用できる総合ソリューションの創出を推進していく。

中国では、AIブロックチェーン、VRなどの技術の発展に伴い、「仮想現実と業界アプリケーションの融合開発行動計画(22~26年)」や「メタバース産業イノベーション発展3カ年行動計画(23~25年)」といった政策が、中国政府から相次いで発表されている。これにより、中国のメタバース産業の発展が加速し、その黄金期を迎えているという。

当紅斉天はその発展の中で、XRコンテンツの制作からVRゴーグルといった端末の研究開発、オフライン空間における実装、そしてそれらの運用ソリューションまですべて手掛ける中国でも数少ない企業だ。同社は設立から8年間、中国16都市や地域において大規模な没入型体験プロジェクトの実装を行ってきており、その対象領域は、カルチャーツーリズムやエンターテインメント、エキシビション、そして教育など多岐にわたっている。

最新の取り組みとしては、例えば、上海ディズニーランドで展開を始めたVRテーマパーク「So Real」が挙げられる。世界初のディズニーランド内での大規模VRプロジェクトで、上海の人気アトラクションとして大きな人気を誇っている。

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当紅斉天のVRテーマパーク「So Real」の上海ディズニーランド版「西遊メタバーステーマパーク」の外観
(画像は当紅斉天のニュースリリースから)

注目したいのは、当紅斉天が発展著しいeスポーツ産業向けに、「超軽量化5Gプライベートネットワークソリューション」を開発し、発表していることだ。5GやAI、VR、センサー技術、そしてIoTといった技術の革新に伴い、eスポーツはこれらの技術と深い融合を進め、インタラクションと技術デバイスの面で飛躍的な進化を遂げている。

中でも、VRを活用したシューティングゲームといった、没入型のeスポーツ体験は、ますます多くの人々の関心を集めている。eスポーツは高いインタラクティビティーと没入感、そして多人数参加といった特徴がある一方で、より大規模な空間と多様な端末を使い、いつでもどこでも楽しめるようにするためには、コンピューティングネットワークのさらなる改良が必要とされている。

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没入型eスポーツゲームの代表と言える、VRを活用したシューティングゲームの開催中の様子
(画像は当紅斉天のニュースリリースから)

 

そこで、当紅斉天は中国通信大手の中国移動(China Mobile)が自社開発した5Gプライベートネットワーク一体機「移研果核」を基盤とし、大容量、低遅延、広範囲カバーの高品質5Gプライベートネットワークを、XR施設で迅速に構築できるソリューションを発表した。VR業務の中で使う端末1つ当たり、40Mbps(メガビット毎秒)以上の安定したデータ伝送速度と20ms(ミリ秒)以下の遅延を保証する。

これにより、従来の工期の長さ、コストの高さ、対応端末数の制限、接続に伴う困難、カバーエリアの小ささといった課題を解決している。このソリューションによって、1000平方メートル規模で数十人のユーザーがVR空間で同時にeスポーツを体験できる。これは業界初の取り組みだ。


 

 

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