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中国双創ナイト「日系ブランドの中国ゼロイチヒャク(0→1→100)」

2020年7月29日(水) に中国双創ナイトをZoomによるオンラインでのウェビナー形式で開催しました。第19回目となる今回は「日系ブランドの中国ゼロイチヒャク(0→1→100)」をテーマに、「MAPUTI」という自社ブランド商品を展開する株式会社lojus(ロフス)のCEO田中麻里奈氏と中国パートナー美研株式会社の取締役の唐晨杰氏、そして中国最大級の育児動画メディア、Babily(中国名:贝贝粒)を運営するOnedot株式会社のCSO谷哲也氏にご登壇頂きました。以下では匠新インターン生の三浦慎之介が当日のイベントについて報告させて頂きます。

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(画像1)イベント中フリートークでの登壇者の様子

「MAPUTI」中国進出について 

最初の登壇者は田中麻里奈氏。lojusは2016年に自社ブランド「MAPUTI」を立ち上げ、海外展開に注力されています。MAPUTIの特徴は中国を足掛かりに海外展開をしたことで、現在では12カ国で展開するまでとなっています。lojusは社員数が3名のベンチャー企業ながらもここまでの海外展開に成功しているのは、中国現地の中国人への働きかけが世界各地の華僑に対しても働きかけることになるからだそうです。

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(画像2)MAPUTI製品の販売実績の推移

このように右肩上がりの成長をされているメーカーの代表である田中氏に、日系ブランドが中国で展開するにあたってのポイントや留意点についてお話を頂きました。

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(画像3)MAPUTIの商品コンセプト

MAPUTIの商品は一見すると、顔など一つの部位に止まらず、様々な部位への商品がありますが、上記の画像のように女性の悩みを解決するためのブランドとしての強い一貫性を持っています。

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(画像4)独自性の高いパッケージデザイン

しかし、話題性を集めるデザインを採用することで模造品が作られるリスクも増えるため、それを阻止するためにHidden Tagと呼ばれる技術を採用し、正規品であることを保証しています。

田中氏によると、中国市場に進出する際は、模造品対策だけでなく、手間や資金を惜しまずに商標を押さえておくべきだと強く勧められておりました。

田中氏によるお話をまとめると、中国に進出するメーカーとしての必須業務として

・オリジナリティのある商品コンセプト・パッケージ(画像3,4)

・模造品対策

・スピード感を持った製造体制作り

・商標取得

・NMPA(CFDA)取得

の5つが挙げられます。

日系ブランドの中国展開について

続いての登壇者は唐晨杰氏。唐氏は小売ディスカウント大手企業でバイヤー兼エリアブロック長の業務を4年間経験後2014年4月に上海へ戻り、2017年10月からは株式会社lojusと連携し、MAPUTIブランドの中国進出に携わり現在に至ります。今回の登壇では、MAPUTIの中国進出での成功体験を元に日系ブランドの中国進出に関するアドバイスを頂きました。

まず、唐氏によると、日系ブランドが中国に進出する際には、従来のメーカーが視野に入れていた天猫国際ではなく、タオバオから仕掛けるべきだそうです。

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(画像5)日本国内/海外の主要ECの市場流通総額

なぜなら、天猫国際の2兆円前後に対してタオバオでは35兆円前後もの流通規模を誇っているからで、さらに、天猫国際を利用する際のアリババとのミスマッチを防ぐこともできるそうです。(画像5)

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(画像6)店舗ごと3段階のプロモーション

また、中国進出の際のプロモーションにも注意が必要で、KOL店舗から展開するのは、最下層にある大衆店舗にいきなり商品を出してしまうと、顧客の認知を獲得せず売り上げも伸びていない状態で商標を取られてしまうケースもあるからだそうです。(画像6)

唐氏によると、悪質業者になると定期的に日本の小売店に足を運び、新商品を片っ端から記録し、その後中国で商標を登録するようなケースもあるので、中国進出を視野に入れてブランドを立ち上げる場合はすぐに商標を取ることが必須だそうです。

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(画像7)各種手続きや申請について 

さらに、近年は海外メーカーが中国進出の際に関連する法律が増え、各申請の手続きが複雑になっていることに加え、各関連機関内での取り扱いが異なることでトラブルになるケースも散見されるので、中国市場での経験があるパートナーが必要とのことです。 

越境スキーム

最後の登壇者は中国最大級の育児動画メディア、Babily(中国名:贝贝粒)を運営するOnedot株式会社のCSO谷哲也氏。 

まず、谷氏によると、日本企業が中国進出するにあたり画像8にあるような諸問題を対処するために、深いブランド理解に基づいたマーケティング/オペレーティングを統括するパートナーが必要とのお考えでした。

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(画像8)中国進出においてパートナーとの間で直面しやすい課題 

続けて中国の今後のEC構造に関して、現在中国ではD2C(Direct to Customer)が浸透しつつあるようです。

ブランドが直接消費者と繋がることによって、中間事業者と販管費を排して低価格で本来のブランド体験が提供可能になります。欧米を例にとると、ナイキなどのメーカーがAmazonからの脱退を表明するなど、EC構造に変化が生じているようです。谷氏によると、この変化は中国にも起きており、以下の特徴があるようです。

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(画像9)中国でD2Cブランドが勃興する理由とその対応

そして谷氏は中国のブランドのD2C成功例として、中国ECで資生堂やユニリーバを抑え首位に立つ「完美日記」をはじめ数社挙げられました。その中には、タオバオなど従来のECを通じて購入された商品を発送する際に、WeChatでの自社ショップのQRコードを同封し、自社ショップへ顧客を誘導していたり、顧客と直接連絡を取り、宣伝だけに止まらず商品開発の参考にする企業もあるようです。そして、D2Cビジネスに成功しているブランドの特徴をまとめると以下の通りになります。

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(画像10)D2C成功要件

今回の双創ナイトでは「日系ブランドの中国ゼロイチヒャク」と題して、田中麻里奈氏、唐晨杰氏、そして谷哲也氏の3名にお集まりいただき、中国への進出に実際に成功されている方々の経験に基づいたアドバイスと現在も起こっている変化についてお話頂きました。日本とは異なる規模やスピード感に対応することに加えて、中国独自の慣習や規制にも対策を行う必要があることが学べました。

最後のQ&Aセッションでは、D2Cとして具体的にWeChatをどのように使っているのかや、登壇者が実際中国進出する際の思いに対しての質問が飛び交い、大変盛り上がりました。中でも、同じ目線で対等に進めることのできるパートナーを見つけることの重要性は3名とも共通認識として持たれているようでした。

このように、匠新は日本の大企業と中国のスタートアップ企業双方のオープンイノベーションを推進するプラットフォームとして、日中のビジネスにおける協力の幅を広げ、両国の持続的発展のために貢献できるよう、尽力して参ります。

今後の双創ナイトを筆頭とするイベントに関しては、オンライン開催であるがゆえに、気軽に参加することが可能です。「このブログ記事を読んで、双創ナイトに興味が出た」という方はぜひ次回ご参加ください。

日時などの詳細情報は弊社HPやFacebookにて告知するほか、匠新が配信している「中国イノベーション通信」でもお知らせいたします。

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